2005年6月18日(土)「しんぶん赤旗」

冷蔵庫

消費電力 実は3〜4倍

カタログ表示を一部変更


 電気冷蔵庫の消費電力量を、実態とまったくかけ離れた表示をして、不当に電気代を安くみせていた問題(本紙十日付既報)で、各メーカーは実際の消費電力量が三―四倍にもなる試験データをもっていたことが明らかになりました。大手家電メーカー六社はそろって夏向けカタログでの表示を一部変更しています。

 各メーカーが消費電力量として公表しているのは「凍結防止などのヒーター類のスイッチを切った状態」にして測定した数値(JIS年間消費電力量)。通常の状態で使用すると消費電力量は公表数値を大幅に超えます。「実使用に近い使い方」で実施した大手家電メーカーの試験では、高機能の多ドアタイプの場合は、JIS数値の三―四倍もの消費電力になった結果がでています。

 本紙の取材に、東芝、松下電器、三菱電機、シャープ、三洋電機が、消費電力量の表示を、JIS数値の「一―四倍」に、日立が「一―三倍」に変動することを、夏向けの最新カタログに記載したと回答しています。

 メーカー側は、「一―四倍」の「一」になるケースとして、JIS数値をはかる条件と同一で使用した場合といいますが、通常、家庭での使用ではありえないケースです。またメーカーによっては、小型機種の場合、公表数値に近いものがあるといいます。

 年間消費電力量が二百キロワット時(電気代四千四百円)というメーカー表示の機種の場合、実際の電力消費量が四倍とすれば、電気代は一万七千六百円で、表示より一万三千二百円も高くなります。


解説

正しい数値示す責務

 大手家電メーカー各社は、冷蔵庫の電力消費量表示が実際と大きくかけ離れていることを認めざるをえなくなりました。しかし、メーカーのホームページやデパート・量販店の店頭では、依然としてJIS数値をもとにした、実際の数字の数分の一の数値を表示。“電気代の大幅削減”を売り物にした販売方法で、消費者をあざむき続けています。

 大手家電メーカーは、ホームページで「買い替え節約」のコーナーまで設け、十年前機種と最新機種のJIS数値を対比して「一年間で約○○○KWHも削減! 電気代は1KWH=22円(税込み)」(松下電器)などと宣伝しています。

 カタログ表示では、高機能機種のヒーター類通電状態での電力消費量がいったいどのくらいなのかが分かりません。冷蔵庫の各機種ごとの消費電力量表示を、実態を反映したものに直ちに是正すべきです。消費者が正しく判断できるデータを提示することは、メーカーの最低限の責務です。

 (畑野孝明)


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