2005年6月16日(木)「しんぶん赤旗」

橋梁談合 26社起訴

幹事社の担当8人も


 国土交通省が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事をめぐる入札談合事件で、東京高検は十五日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪で、横河ブリッジや三菱重工業など、二つの談合組織メンバー四十九社(二社は事業撤退)のうち二十六社と、横河ブリッジ理事横山隆容疑者(59)ら幹事社の担当八人を起訴しました。

道路公団にも波及

 同高検は、談合組織「K会」「A会」を主導した常任幹事や副幹事だけでなく、受注調整で一定の役割があった「平幹事」を加え、受注高が多かった会社も刑事責任を問う対象としました。

 また、談合を「業界、会社ぐるみの犯行」と認定。逮捕した十四人は、常任幹事、副幹事の各社部長級、顧問に絞って起訴しました。三菱重工前橋梁部次長(54)ら六人は処分保留で釈放しました。

 公取委は同日、起訴に先立ち、談合組織の十八社と八容疑者を検事総長に追加告発。先月二十三日の八社と合わせ、告発した会社は二十六社となり過去最多となりました。

 談合組織をめぐっては、日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事でも、天下りした公団OB組織を通じ、入札談合があった疑いが浮上。検察当局は、東京地検特捜部を投入し捜査を進めています。

 起訴状によると、K会、A会加盟の四十九社(昨年度は四十七社)は共謀し、昨年度までの二年間に、国交省の東北、関東、北陸の三地方整備局が発注した鋼鉄製橋梁工事の入札で、談合を繰り返していました。

 各社は毎年度末、都内の施設に集まり、幹事社を選出。横山容疑者ら幹事社の担当が主導し、メンバー各社の過去五年間の受注実績に基づき、それぞれの工事で落札会社を決めていました。


独禁法改正反対の日本経団連

副会長出身2社も起訴

 公正取引委員会が今回、新たに追加告発した十八社は、談合による不当利益額の大きな企業とみられます。

 国土交通省がまとめた二〇〇〇年から〇四年の五年間に発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)上部工事の資料によると、東北・関東・北陸の三地方整備局分では、受注額の上位二十三位までの企業はすべて起訴されています。発注額約千六百六十六億円のうち起訴された二十六社は75・8%を受注していました。

 談合組織のメンバー四十七社には国交省から百九十七人もの天下り。このうち起訴された二十六社には百五十七人が天下りしていました。

 新たな告発の決め手となったとみられているのは、談合組織「K会」の中心人物とされる横河ブリッジ理事・横山隆容疑者(59)が談合について詳細に記載した七冊のノート。家宅捜索で押収したもので、ノートには、受注調整のやりとりや決定事項、誰がどんな発言をしたかなど、細かく書かれていました。同容疑者が「密室」の会議内容を録音し、起こしていたものでした。

 現行の課徴金を引き上げる独占禁止法改正の動きに反対の姿勢をとってきた日本経団連。今回起訴された企業の中には、日本経団連副会長を出している新日鉄と三菱重工業の二社も入っています。

 経団連が総会を開いた当日の五月二十六日。独禁法違反容疑で十四人が逮捕されました。その中には副会長をだしている三菱重工業の橋梁部次長もいました。

 総会後の記者会見で経団連副会長の西岡喬・三菱重工業会長は「経団連の総会の日に、このようなことになったことで、皆さん方に非常にご迷惑をかけた」と謝罪しました。

 奥田碩会長も「独禁法が先送りされたのは、正直いって、経団連が反対したと盛んにいわれていますが、経団連だけじゃなくて、民主党も反対した…」とのべ、民主党を前面に押し立てた弁解をしたほどでした。

 橋梁談合事件はこれで終わりではなく、日本道路公団にも波及する見通しです。


起訴された26社

 橋梁(きょうりょう)談合事件で、起訴された二十六社は次の通り。

 【K会】横河ブリッジ(東京都港区)=常任幹事=▽石川島播磨重工業(千代田区)▽宮地鉄工所(中央区)▽JFEエンジニアリング(千代田区)▽東京鉄骨橋梁(港区)=以上副幹事=

 ▽三菱重工業(港区)▽新日本製鉄(千代田区)▽三井造船(中央区)▽川崎重工業(神戸市)▽サクラダ(千葉市)▽住友重機械工業(品川区)▽瀧上工業(中央区)▽日本橋梁(大阪市)▽日立造船(同)▽松尾橋梁(同)

 【A会】川田工業(富山県南砺市)=常任幹事=▽高田機工(大阪市)▽栗本鉄工所(同)=以上副幹事=

 ▽日本鉄塔工業(江東区)▽駒井鉄工(大阪市)▽トピー工業(千代田区)▽ハルテック(中央区)▽川鉄橋梁鉄構(台東区)▽片山ストラテック(大阪市)▽日本車両製造(名古屋市)▽佐藤鉄工(富山県立山町)


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