2005年6月11日(土)「しんぶん赤旗」

裏金認めない愛媛県警

不正経理で報告書

告発した仙波氏 「でたらめ」と批判


 愛媛県警の仙波敏郎巡査部長(56)が不正経理を内部告発した問題で、県警は「証言のような偽造領収書の作成依頼やカラ出張の事実は確認されなかった」などとする調査結果報告書を十日までにまとめました。警察庁を通じて同日、衆院内閣委員会に内容が報告されました。仙波氏の告発をことごとく否定するもので、仙波氏は「でたらめな報告」と厳しく批判しています。


 仙波巡査部長は今年一月二十日、現職警官として全国で初めて実名で警察の不正経理を告発。(1)一九七三年から九五年まで所属した十二署すべてでニセ領収書づくりに協力するよう求められた(2)鉄道警察隊員が勤務で列車に乗る際に支給される旅費に不適切な事務処理があった――などを具体的に挙げ、「不正経理でつくられた裏金が幹部の慰労などに流用された」と指摘しました。

 調査は仙波氏の告発以降、県警が当時の関係者二百四十七人から聞き取りしたものですが、報告書といってもわずか八ページにすぎません。

 ニセ領収書については、仙波巡査部長が所属した署のOBら百五十三人から聴取。「ニセ領収書等の作成依頼はしていないし、裏金はありえない」「不正なことは一度もしたことがない」などと全面否定。県警は「ニセ領収書の作成依頼やカラ出張等がおこなわれていたとの事実は確認されなかった」と結論づけています。

 旅費については、二○○四年度に、実際に長距離警乗したのに旅行名簿に記載がないため不支給となったものや、目的地の誤記など五件の不備が判明した、としたものの、それ以外には「保存されている関係文書を確認した限り、不適正な点はなかった」としました。

 一方、仙波巡査部長が告発後の講演などで指摘している飲酒運転摘発時の報奨金交付については、八七年ごろの松山東署と八九年ごろの伊予署で県費から一件当たり千円が支給されていましたが、当時の県警の表彰制度に基づく支出だったといいます。

 仙波巡査部長は「でたらめな報告だ。県警は再生する最後のチャンスを自らつぶした。残念です」と批判。

 また、「仙波さんを支える会」の東玲治代表は「到底うけいれられない報告。裁判を通じて、仙波さんの証言の正しさが証明されると思う」と話しました。


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