2005年6月10日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「九条の会」1年

憲法九条守る大きなうねりに


 井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子の九氏が「『九条の会』アピール」を出したのは、昨年六月十日のことでした。それから、ちょうど一年。「アピール」に賛同してつくられた「会」は、各地、各界で二千を超え、日々増え続けています。

 昨年七月から今年三月まで、全国九会場で開かれた「九条の会」講演会には、合わせて二万七千四百人も参加し、熱心に耳を傾けました。今年の憲法記念日の集会は、各地で、かつてない盛り上がりを見せましたが、そこには、「九条の会」の活動の反映があります。

核心をつき、心に響く

 「『九条の会』アピール」を読んだ人は、政治的立場はさまざまでも、「九条を守るのが大事だ」と賛同しています。「アピール」が人々の心に響き、「九条の会」を広げるうえで、大きな力を発揮しています。

 「アピール」は、改憲の動きの「かつてない規模と強さ」に警告を発しつつ、「その意図は、日本を、アメリカに従って『戦争をする国』に変えるところにあります」と、問題の核心を端的に指摘。「アメリカのイラク攻撃と占領の泥沼状態」にふれて、「紛争の武力による解決が、いかに非現実的であるか」は明らかであり、「憲法九条に基づき、アジアをはじめとする諸国民との友好と協力関係を発展させ、アメリカとの軍事同盟だけを優先する外交を転換し、世界の歴史の流れに、自主性を発揮して現実的にかかわっていくこと」が求められているとのべています。そして、「私たちは、平和を求める世界の市民と手をつなぐために、あらためて憲法九条を激動する世界に輝かせたい」「日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、『改憲』のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます」と結んでいます。

 日本を代表する知識人・文化人が、いまこそ憲法九条を輝かせるべきだと、熱く訴えていることに、多くの人が感動しました。

 同時に、呼びかけ人も、「九条の会」講演会などの体験にもとづき、こう語っています(発足一年を前にした記者会見、四月二十二日)。

 「こちらがびっくりするくらいの効果があった。そこでいろんな感動、物語が展開した。…ものすごく新鮮な驚きだった」(奥平氏)、「九条を守ろうとまとまっていきたいという機運が、多くの人の中に広がっていることを肌身に感じました。…歩き回ることで、そこから多くの勇気をもらいました」(澤地氏)、「しがらみを吹っ飛ばしたのが『九条の会』です。…そういう動きがあちこちでできたら、改憲はだめになるでしょう」(小田氏)

全国の津々浦々に

 自民党や民主党、公明党などの改憲に向けた動きを軽視することはできません。しかし、九条改憲を許さない国民の声と運動も大きくなっています。

 「九条の会」は、職場・地域・学園、さまざまな分野で、国民の過半数結集をめざして、無数の「会」をつくることを呼びかけています。そこには、広範・多彩な人々が参加し、創意に満ちた活動をしています。

 日本共産党は、呼びかけにこたえ、その一翼をになって積極的役割を果たす方針を決めています。全国の津々浦々に「九条の会」が広がるよう、力をつくしましょう。


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