2005年6月9日(木)「しんぶん赤旗」
軍事企業トップ100社
兵器売り上げ25%増
SIPRI年鑑 米「対テロ」が影響
七日発表されたストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の二〇〇五年版年鑑は、世界の軍事産業による兵器販売の売り上げが急増していることを明らかにしました。ブッシュ米政権が「対テロ」を口実にイラクやアフガニスタンで軍事行動を行っていることが軍需産業を潤していることを示したものです。
SIPRI年鑑によると、兵器製造にかかわるロッキード・マーチン社など世界の軍事企業のトップ百社の二〇〇三年の兵器売り上げは、二千三百六十億ドルに到達。前年比25%増となりました。
兵器販売で中心的な役割を担うのは米国軍事企業で、トップ百社のうち、米国に本拠を構える三十八社とカナダに本拠を置く一社が全体の売り上げの63・2%を占めています。ロシアの六社と欧州の三十六社の合計は30・5%でした。
また、百社の〇三年の総売り上げは九千九百二十六億ドルに達し、世界の貧困国六十一カ国の国内総生産(GDP)の合計一兆一千十億ドルにほぼ匹敵すると強調しました。
一方、年鑑は、イラク戦争やその後の復興を通じて進んだ米軍の仕事を民間企業に請け負わせる「軍事的な仕事の民営化」が、人員や物資派遣などを行う軍事企業を潤していると指摘。民営化の傾向は西欧にもあるものの、最も進んでいるのは米国だとしています。
年鑑はまた、イラクでの復興事業の受注に際して、透明性の確保が不十分だと主張。この分野の情報について、企業や軍、国防省ではなく、非政府組織(NGO)の調査に頼っている現状を明らかにしました。
世界の商業的武器取引の売り上げの情報が限られたものであることも指摘しています。

