2005年6月9日(木)「しんぶん赤旗」

日本、W杯一番乗り

北朝鮮に勝つ 柳沢・大黒ゴール


 【バンコク=和泉民郎】サッカーの日本代表が三大会連続のワールドカップ(W杯)大会出場を決めました。

 二〇〇六年W杯ドイツ大会アジア最終予選の日本―北朝鮮戦は八日、タイ・バンコクで無観客試合として行われ、日本が柳沢敦、大黒将志の得点で2―0で快勝しました。

 これで最終戦を待たずにB組の2位以内が確定し、W杯出場権を得ました。

 気温三七度の酷暑の中、中田英寿ら主力選手を出場停止で欠いた日本は3―5―2の布陣。

 前半は攻めあぐみましたが、大黒をFWに投入した後半は攻撃にスピードが出始め、28分、ゴール前の相手のクリアミスに柳沢が飛びこんで先制。終了間際には、DF田中誠のカットから大黒が飛び出し、相手GKをかわして左足で押しこみました。

 この試合は当初、平壌開催の予定でしたが、三月の予選(平壌)で北朝鮮の観客が暴徒化したことで、国際サッカー連盟が「中立国で無観客」という処分を決定。

 異例の形となりましたが、選手の声が響きわたるスパチャラサイ国立競技場の周りには、日本のサポーターが集まり、熱心に応援をつづけました。

 この結果、日本は来年六月―七月に行われるドイツW杯大会に世界で一番乗りとなりました。

気持ちで負けずフェアに

 無人のスタンドに選手たちの歓声が響きわたる。肩を抱き合い、固く手を握り合いました。

 北朝鮮との九十分間の激闘を制し、ドイツ行き一番乗りを決めた日本。ここ一番で力を出し切った選手たちを、ジーコ監督は安どの表情でたたえました。

 「気持ちで勝って初めて技術が生きる。W杯予選の間、ずっと言い続けてきたが、それを選手たちがやってくれた」

 この試合でも日本は、気持ちで負けている場面はありませんでした。

 前半からしっかりとボールをキープし、相手の穴を探しつつ、得点を狙い続ける。要所で相手と激しく競り合う場面があったものの、決して負けてはいませんでした。

 体にまとわりつく暑さ、無観客試合という特殊な状況、そしてなかなか得点できない、いらいらする展開でも、落ち着いてバランスを取り続け、ボールを回す。そんな技術の高さも発揮して、後半の柳沢敦、大黒将志の得点につなげたといえます。

 もう一つ特筆すべきことは、最後までフェアにたたかい抜いたこと。

 北朝鮮の厳しい当たり。ときに足の裏をみせながらのタックルもありました。後半の終了間際、北朝鮮の選手が、DF田中誠を踏み付ける暴力行為で退場へ。

 「相手は熱くなっていた。でも、こっちが熱くなってはだめ。プレーに集中した」と田中。このように、すべての選手が、しっかりと勝利という目標に向かって、たたかい続けました。

 気持ちで負けずにフェアに――。これを貫いた日本の選手たち。今回のW杯予選を通じて日本代表は一段と成長した姿を見せました。(バンコク=和泉民郎)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp