2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
橋梁談合 聴取中の公団元理事
在職時は“政界窓口”
「入札口利き」と自民元秘書
日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事の談合疑惑が浮上していますが、受注調整をしたと目されている公団OB組織の中心役、横河ブリッジ顧問の公団元理事(70)が、公団理事在職当時も、政治家の“口利き”の窓口となるなど受注調整に深く関与していた疑いがあることが七日、本紙の調べで分かりました。東京高検など検察当局は同日までに、元理事を事情聴取。元理事は公団退職後、OB組織の中心役として自らが受注調整に関与したことを認めており、今後、発注者側の関与、「官製談合」の有無が焦点になるとみられます。
関係者によると元理事は、公団理事在職中の一九九二―九四年のころ、国会議員などが特定企業を「入札に参加させてほしい」などと「口利き」する際、公団側の窓口となっていたといいます。
複数の自民党議員元秘書は「元理事は、橋梁工事だけでなくトンネルなど公団工事全体の“陳情”窓口となっていた」と証言。「実際、頼んだ業者を入札に参加させてくれたこともある。公団工事の受注調整にかかわっていない限りできないことだ」と語っています。
元理事はOB組織内で実力者とされ、三菱重工も大手メーカー談合組織「K会」では、強い影響力を持っていました。
関係者によると、道路公団の入札は談合組織に属するメーカーに再就職した公団OBの親睦(しんぼく)会「かずら会」が、受注調整の母体を担っていました。
元理事は公団OBが再就職した会社の受注希望工事を幹事役に伝達するなどし、工事の割り振りを決定。最終的には「かずら会」の会長を長年務める元理事が三菱重工業前橋梁部次長の田中隆容疑者(54)=独禁法違反容疑で逮捕=と調整して決めていたとされます。
元理事は一九五九年に公団入り。九二年から理事を務め、九五年に横河に常勤顧問として再就職。常務、専務、副社長を歴任し、現在は顧問。
調整した結果は石川島播磨重工業の前橋梁営業部長の清宮正美容疑者(49)=同=を通じ、落札が決まった各社に伝えていたといいます。
元理事は検察当局の事情聴取にも「田中容疑者と相談していた」と話しているといいます。

