2005年6月7日(火)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄の米軍基地

たらい回しではなく撤去を


 普天間基地大包囲行動と「普天間基地撤去、基地の県内移設に反対する県民大会」(五月十五日)を成功させた同大会実行委員会の代表団が、小泉首相、町村外相、大野防衛庁長官にたいして大会決議文を渡しています。決議文が求めているのは、普天間基地の即時閉鎖・撤去、辺野古移設の断念・嘉手納基地などへの統合・移設計画の撤回です。

 二万三千人の普天間基地包囲と七千人が集まった県民大会に示された沖縄県民の総意を、政府は、真剣に受け止めるべきです。

基地のない沖縄求めて

 沖縄は、第二次世界大戦で激しい地上戦闘の舞台となり、十万人近くの県民が犠牲となりました。戦後は米軍の「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われ、米軍基地あるが故の言語に絶する苦痛を強いられてきました。

 祖国復帰の一九七二年五月十五日、超党派でつくる沖縄県祖国復帰協議会が開いた県民総決起大会の決議は、「戦争体験と引き続く米軍支配のもとにしいたげられてきた苦い経験に基づく反戦平和の立場に立った、『核も基地もない平和で豊かな沖縄県の回復』」を要求しました。これは県民共通の悲願でした。

 しかし、復帰後も県民は、少女暴行事件をはじめとした米兵による凶悪犯罪や航空機墜落による危険と隣り合わせの生活を強いられています。これ以上米軍の横暴勝手に我慢ができないと怒るのは当然です。

 日米両政府は、九五年に、沖縄の米軍基地について検討するSACO(沖縄にかんする特別行動委員会)を設置。翌九六年、普天間基地を返還するかわりに、辺野古沖に新しい基地をつくることで合意しました。新基地建設反対の運動が広がり、多くの住民が、昨年来座り込みを続けています。辺野古沖の基地建設は、海を汚し、サンゴの破壊、ジュゴンの生息場所を奪います。普天間基地の航空機部隊を嘉手納基地などに移せば、嘉手納町民の苦痛がさらに増大します。県外でも苦痛の拡散は同じです。たらい回しでは、基地の痛みをなくすことも減らすこともできません。

 SACO合意による基地のたらい回しを許すことは、ブッシュ政権がすすめる米軍再編と結びついて、沖縄にある基地を恒久化することになります。ブッシュ大統領は、米軍再編は、「二十一世紀の戦争をたたかう、勝利するのを助ける」(二〇〇四年八月)とのべました。中国や北朝鮮の軍事動向を理由にして、日本の戦略的重要性を強調しています。たらい回しに固執することは、長期にわたって、日本を戦争の司令塔、出撃拠点にする計画を認めることにつながります。それは、日本を、アメリカの先制攻撃戦争の足場として使うということです。アメリカは、イラクにたいし、大量破壊兵器を持っているとうそをついて攻撃をおこないました。

 いま求められているのは、基地をたらい回しすることによって、基地を存続させることではなく、無条件に日本から撤去させることです。

「命(ぬち)どぅ宝」

 イラク戦争は、国連憲章違反の先制攻撃戦争です。犠牲になったイラク国民は、十万人近くにもなるとの国際人道組織の指摘もあります。

 沖縄戦の体験から、「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)を大切にする沖縄県民にとって、沖縄が、大量の命を奪う戦争の拠点になることは耐えられるものではありません。

 基地のない沖縄をつくるため、運動の輪を広げましょう。


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