2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

“東京燃ゆ”の大奮闘で、日本共産党の前進を

躍進のつどいでの 志位委員長の訴え


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集まった人たちの声援に応える全都議候補者、中央に志位委員長も=4日、東京・代々木公園

 東京都議選(二十四日告示、七月三日投票)を目前にして四日に開かれた日本共産党四十三候補の勝利をめざす「躍進のつどい」(代々木公園)での、志位和夫委員長の訴え「“東京燃ゆ”の大奮闘で、日本共産党の前進を」(大要)を紹介します。


 「躍進のつどい」に参加されたみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。都議選を目前にして、広い会場に、こんなにたくさんの方々がお集まりくださって、「さあ選挙」と、私自身も、血わき肉おどる思いであります(拍手)。心からのお礼をもうしあげます。

 いよいよ投票日まで一カ月を切りました。このたたかいは、都政の明日だけでなく、国政の行方を左右する歴史的たたかいとなります。首都・東京の革新と進歩の底力を発揮して、必ず勝利をつかみとろうではありませんか。(大きな拍手)

「オール与党」か、日本共産党か――ここに選挙戦の対決の軸がある

 自民党と民主党は、「二大政党の選択」を、この選挙に無理やりもちこもうという作戦であります。自民党は「打倒民主党へ総力戦」と叫び、民主党は「政権交代の前哨戦」のたたかいだといっています。

 しかし現実はどうでしょうか。

 私は、この選挙で政党を選ぶ三つの尺度があると思います。

 第一は、都民の福祉と暮らしをまもる党はどの党か。

 第二は、税金の無駄づかいをやめさせる力をもった党はどの党か。

 第三は、平和と民主主義が輝く東京をつくる党はどの党か。

 この三つの大きな尺度にてらしますと、自民・公明と、民主は、「対決」どころか、国の政治のあらゆる基本問題で、少しも違いがありません。だいたい民主党は、自分で「野党とよばないで」(笑い)といいだしました。どうよんでほしいのか。「政権準備政党」とよんでほしいというのです。この党の代表は、自民党との「対立軸」を問われて、「日本橋三越と高島屋の違いでいい」(笑い)とまで答えました。これでは、自民、民主のどちらかを選べといわれても、選びようがないではありませんか。(拍手)

 そして都政では、自民、民主、公明、生活者ネット、すなわち日本共産党以外のすべての党が、文字どおりの石原都政の与党――「オール与党」になっています。石原知事のいうことには何でも賛成。そればかりでなく、そろって都民いじめの政治の推進役になっているのが実態であります。

 こうした流れに、国政でも都政でも、正面から堂々と対決しているまっとうな野党は、日本共産党だけになっています。「オール与党」か、日本共産党か――ここにこの選挙戦の対決の軸があることを、私はまず強調したいのであります。(拍手)

都民の福祉と暮らしをまもる党は

国から大増税と負担増の大波が――国民にどういう痛みがおしつけられるか

 まず第一の争点――都民の福祉と暮らしをまもる党はどの党かについて、お話しします。

 国の政治をみていただきたい。私は、こんなに国からひどい“都民いじめの大波”がおしよせてくるもとでの選挙はないと思います。

 一つは、大増税・負担増の大波です。今年度から来年度にかけて、サラリーマンへの定率減税の廃止をはじめ、新たに七兆円もの負担増が、国民におしつけられようとしています。その痛みは、「老いも、若きも」、あらゆる国民に襲いかかりつつあります。

 たとえばお年寄りへの負担増はどうなるでしょうか。すでに二月から年金への課税が強化され、受け取る年金が大幅に減らされました。これにくわえてお年寄りの住民税の非課税措置を廃止する計画がすすめられていることを、ご存じでしょうか。これらによって、どれだけの負担増になるか。

 私は、国会でその試算をつきつけて小泉首相を追及しましたが、今日はさらに具体的なケースの試算を紹介したいと思います。東京・大田区で、年金百八十万円の一人暮らしのお年寄りで、都営住宅にお住まいの方の負担増がどうなるかという試算です。

 計算してみますと、たいへんな数字が出てきます。住民税・所得税の負担は、非課税から課税にかわり二万四千五百円増えます。重大なことは、それに連動して、あらゆる負担が増えてくることです。国保料は、二万二千百円増えます。介護保険料は、一万九千二百円増えます。シルバーパスの料金は、千円から二万五百十円に、一万九千五百十円増えます。そして都営住宅の家賃が、年間で十二万二千四十円も増えます。

 こうして負担増は「雪だるま」式にふくらみ、合計してみますと負担増は何と二十万七千三百五十円にもなる。百八十万円の年金に頼って生計をたてているお年寄りに、二十万円をこえる負担増とは、憲法に保障された生存権を奪うにひとしい、許しがたい冷酷無情な政治ではありませんか。(拍手)

 そのうえ、二〇〇七年度から消費税の大増税がたくらまれています。これは先の話ではありません。自民・公明と民主は、わが党の反対をおしきって、国会に「年金・社会保障両院合同会議」なるものを設置しました。この「協議会」では、すでに消費税をどう上げるかの議論が、自公・民主の合作で進行中です。四月二十二日の「協議会」では、民主党の代表が、「定率減税廃止だけではたらない」と消費税増税をせまり、自民党の代表が「消費税含む抜本改革をおこなう」と答えています。わが党は、この場を、消費税増税への自公民の合意づくりの場にさせないため、国会内外で全力をあげて奮闘する決意をもうしあげるものです。(拍手)

介護保険の大改悪が、自公民の共同で強行されようとしている

 いま一つは、社会保障切り捨ての大波です。いま国会では、介護保険の大改悪の法案が審議中です。

 この法案は、軽度の要介護者の方々から家事サービスの在宅介護をとりあげることを大きな柱にすえています。政府の言い分はこうです。「家事サービスを利用すると、ヘルパーに頼ってかえって高齢者の状態が悪化する」。これはとんでもないうそであります。わが党の山口富男議員が、サービスを利用している軽度の要介護者の方々のうち、八割以上が状態を維持・改善しているという政府自身の調査結果をしめすと、政府はぐうの音もでなくなりました。

 さらにこの法案には、ホテルコストと称して、施設に入所されているお年寄りから食費と居住費を取り立てることももりこまれています。わが党の小池晃議員が、東京の特別養護老人ホームに入居中の、年金が月額七万円余りのお年寄りについて、どれだけの負担になるかをしめして政府を追及しました。現在四万円の負担が、八万五千円にもなります。年金七万円をこえてしまいます。政府は何と答えたか。「貯金がある人もいる」(驚きの声)。冗談ではありません。これはみなさん、特養ホームから出て行けといわんばかりの仕打ちではありませんか。(拍手)

 重大なことは、こんなとんでもない大改悪の政府案に、衆議院での採決で、民主党も賛成したことです。衆院の審議の過程では、民主党議員も改悪の問題点を指摘し、わが党の山口さんが質問しますと、「その通り」「いい質問だ」という声援まで送っていた(笑い)。ところが採決の場面にいきますと、執行部の指示で、一転賛成になりました。しかも今後、青年のみなさんからも保険料を取り立てることを検討する付帯決議までつけたのです。現場の民主党議員は、「なぜ賛成か、僕にはまったく説明できない」とあぜんとした。「政権準備政党」とはこういうことなんですね。悪い政治には何でも賛成するというのが、その正体ではありませんか。(拍手)

 関西空港二期工事に代表される巨大開発の無駄づかいを復活させ、大もうけしている大企業への減税には指一本ふれないまま、庶民に大増税と社会保障切り捨てをおしつける。これが国政でおこなわれていることであります。

 そして自公、民主は、「対決」どころか、消費税増税と社会保障切り捨てで、悪い政治を競い合っています。正面からこの悪政に堂々と反対する論陣をはっているのが、私たち日本共産党であります(拍手)。庶民増税反対、社会保障切り捨て反対の願いは、どうか日本共産党におよせください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

都政はどうなっているか――福祉都市から、福祉切り捨ての“モデル都市”に

 国からこんなひどい“都民いじめの大波”がおしよせている時こそ、都政の役割が大切であります。それなのに、追い打ちをかける政治がおこなわれています。石原都政のもとで、都の福祉予算は、一割も削り込まれるという異常な事態になりました。

 シルバーパスが全面有料化されました。非課税世帯で千円、課税世帯になりますと一気に二万五百十円にはねあがるという過酷な負担であります。利用率は、72%から55%に激減しました。

 老人医療費助成(マル福)の段階的切り捨てがすすめられ、再来年には廃止される計画になっています。マル福が使えなくなると、医療費の自己負担は、一割負担から三割負担に、一気に三倍にもなります。その結果、お医者さんへの受診率が二割減少しました。命を脅かす受診の抑制がおこっていることを、どう弁明するのでしょうか。

 福祉への都の補助金の切り捨ては、百種類以上におよびました。特別養護老人ホームでも、保育園でも、深刻なサービスの低下がおこっています。ベテランの保育士さんが減らされています。政府の保育所運営指針でも、乳幼児期はおとなとの安定した信頼関係、愛情関係をつくることが何よりも大切だと強調しているのに、それが困難になっています。そのことを、削った人たちは少しでも考えたことがあるでしょうか。

 寝たきりのお年寄りの命づなだった介護手当(老人福祉手当)が、とうとう廃止されました。介護保険がはじまったことが廃止の理由とされました。しかし、介護保険の現実は、高すぎる保険料・利用料で、必要な介護が受けられない。介護保険導入の時に、「在宅でも、施設でも、自由に老後の場所を選べる」という約束だったはずなのに、特別養護老人ホームの待機者が急増し、都内でも二万人を大きくこえています。その時に介護手当の廃止とは、まさに命を削る所業。絶対に許すわけにはいきません。(拍手)

 私は、全国十三の政令指定都市と東京都の比較をしてみました。そうしますと、お年寄りへの交通費助成は十三市中十一市で継続しており、東京のように全面有料化し、二万円以上もとっているところはありません。老人医療費助成も十市で継続しています。介護手当はだいぶ削られましたが、それでもお隣の千葉市、さいたま市では、月一万円の手当を継続しています。東京都では、これらの三つの福祉制度をすべて廃止・全面有料化してしまいました。

 革新都政時代に、全国でも最も優れた福祉都市だった東京が、福利切り捨ての“モデル都市”になってしまったのは、腹だたしい限りではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

「福祉の心」を削って恥じない「オール与党」の罪は重い

 この推進役になったのが、「オール与党」であります。都議会の議事録をみますと、その姿が生々しくわかります。自民党は、「福祉の見直しはどうなったか、何を、どれだけ削ったか」と追及し、当局に福祉切り捨ての数々の実例をあげさせ、「九百二億円の財源が捻出(ねんしゅつ)できました」と答弁させています。

 介護手当切り捨てのさい、わが党がその継続の提案をおこなったのにたいして、民主党は何といったか。「介護手当は寝たきりを助長する」。こういって反対したのです。しかしみなさん、いったい介護手当をもらいたいがために、大切なおじいちゃん、おばあちゃんを「寝たきり」にさせておく家族がどこにいるというのか。介護手当があれば、それを少しでも状態をよくするために役立てようと、一生懸命に頑張ってきたのが、家族ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 公明党は、わが党の介護手当継続の提案に、「選挙目当ての逆立ちした提案」とさんざんの悪罵(あくば)をついて反対しました。ところが同じ時期に、中央区の区議会では、共産党だけでなく公明党も「介護する家族にとって負担が大きい」と高齢者福祉手当の継続を要求しているのです。そして中央区では、区独自、月二万円の「おとしより介護応援手当」が創設され、公明党は、いつものように「自分たちの実績」と、ちゃんと自慢までしています。都議会公明党に聞きたい。あなたがたからみれば、中央区の公明党も「逆立ち」ということになるのか。都議会での公明党の言い分はまったく説明がつかない、道理のたたないものではありませんか。(拍手)

 切り捨てたのは、お金だけではありません。革新都政時代にこれらの福祉制度をうちたてた原点にあったものは何でしょうか。シルバーパスは、お年寄りが気軽に外出し、お友達とも交流し、いつまでも元気に、という思いをこめてつくったものでした。マル福は、変わり目の年代の方々が、病気を早期発見・早期治療することで、長生きしていただきたい、という思いをこめてつくったものでした。長い間苦労して働き、日本を築いてきたお年寄りを、敬い、大切にする、「福祉の心」が、都民が築いたすべての福祉制度の原点にあったのではないでしょうか。

 私は、「福祉の心」を削った「オール与党」の罪は深いと思います(拍手)。しかも削ってもその痛みを感じない。都議会の議事録をみて驚きました。わが党の批判にたいして、彼らは自分たちに都合のよい数字を並べて、「福祉は充実した」といっている。あれだけ削りに削りながら、そういって恥じない姿が、はっきり記録されています。

 私は、こういう反省のない勢力にたいしては、都民のきっぱりとした審判を下すしかないと考えるものであります。(大きな拍手)

暮らしをまもる5項目要求の実現を――3つの裏付け

 こうしたもとで、日本共産党は、「少なくともこれだけは」という緊急の暮らしをまもる要求として、つぎの五項目を提案しています。

 第一は、三十人学級を東京でも実現することです。

 第二は、小・中学生の医療費を無料にすることです。

 第三は、介護手当はせめて月一万円から復活させることです。

 第四は、シルバーパスは所得に応じて三千円から五千円のものもつくることです。

 第五は、老人医療費助成制度をまもり充実させることです。

 この五項目の要求は、圧倒的多数の都民のやむにやまれぬ切実な要求であり、立場の違いをこえた共通の要求ではないでしょうか。(拍手)

 日本共産党をのばせば、これらの要求の実現へ、大きな道が開けます。私は、それには三つの裏付けがあることを、強調したいと思います。

 一つは、財源の裏付けであります。五項目あわせて、三百十億円あれば実現できます。都の年間予算六兆円のわずか0・5%でできます。兆や億といってもピンときませんね。さわったことがありませんから(笑い)。しかし、0・5%といいますと、月収二十万円の家計ならたったの千円ですよ。そのぐらいのお金を動かすのは、やる気さえあればできる、政治の姿勢の問題ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 二つは、実績の裏付けであります。たとえば子どもの医療費助成制度は、どうやって充実がはかられたか。まず一九九四年に三歳未満の助成制度が実現しましたが、これは共産党都議団が、一九八七年から連続十二回質問し、四回にわたる条例提案をおこない、都民とともにたたかってかちとった成果でした。さらに二〇〇一年に就学前までの助成制度が実現しましたが、これは九七年の都議選で日本共産党が大躍進して、条例提案の表明をすると、表明をしただけで他党があわてて、いっせいに賛成にまわり、実現したものでありました。

 いま医療費助成を小・中学生まで拡充することが問題になっています。自民党と公明党がとっている態度は、一言でいって言行不一致であります。自公両党は、口では「拡充」というのです。しかし自公民はそろって、共産党がだした「拡充」をもとめる決議案には反対しました。しかし、ここでも前進の道を開きつつあることを、今日、私はうかがいました。いま開かれている六月議会で、わが党の「小・中学生まで拡充を」の提起にたいして、都当局は、これまでの拒否の態度を変え、「要望があることは十分承知している」と答弁したとのことです(拍手)。ここまでおいつめてきた。みなさん、共産党をのばして、子どもの医療費助成制度を小・中学生にまで拡充させようではありませんか。(拍手)

 三つは、全国の流れの裏付けであります。たとえば三十人学級は、すでに東京都と香川県をのぞく四十五道府県で実施されています。こういう流れのなかで、ついに中央教育審議会の会長も、「三十人学級を中心とした手厚い教育、これが日本に必要であることはもう申すまでもありません」と国会で明言しました。もう勝負ははっきりついた(拍手)。それなのに、自民党はいまだに少人数学級は「競争心を養ううえで適当でない」といいはっています。公明党は「サッカーの試合もできない」(笑い)などとへ理屈をならべて抵抗しています。私は、この期におよんで妨害するのは、みっともないからおやめなさいといいたい。(拍手)

 みなさん、日本共産党をのばして、五項目の切実な暮らしの要求を、力をあわせて実現しようではありませんか。(大きな拍手)

税金の無駄づかいをやめさせる力をもった党は

「臨海」開発をめぐる「オール与党」と日本共産党の攻防戦

 第二の争点は、税金の無駄づかいをやめさせる力をもった党はどの党か、ということであります。都民の福祉と暮らしを、削りに削って恥じない石原都政と「オール与党」が、一方で、都民に説明のつかない無駄づかいをすすめています。

 その最大・最悪の見本が「臨海」開発であります。この計画は、バブルの時代に、海の上に巨大都市をつくろうとはじまったものでした。共産党はいっかんして「こんな無謀な計画は必ず破綻(はたん)する」と批判してきましたが、いま重要なのは、それが目の前の現実になったということです。地代をあてこんでつくった広大な土地は売れず、都がたてた第三セクタービルも入居がガラガラで破産状態におちいった。

 だいたいこれは、「都民のお金は一円もつかわない」と公約してはじめた事業です。そこにすでに二兆円以上、これからも一兆円もの都財政をつぎこむことそのものが、大破綻の証明ではありませんか。

 これだけの大破綻を前にしながら、なお推進にしがみついているのが「オール与党」であります。

 実は、四年前の都議会で、石原知事は、わが党議員の追及にたいして、「臨海」開発について、「これは行くも地獄、退くも地獄なんだ」という答弁をしたことがあります。「地獄」というわけですから、完全に破綻し、行き詰まったことを認めた重大答弁となったわけです。これが有名な“地獄答弁”(笑い)であります。

 これに大慌てしたのが「オール与党」でした。推進の大合唱がはじまりました。自民党は、「これをすすめることが首都東京の再生につながる」とハッパをかけました。民主党は、「いまさら後もどりできない」と尻をたたきました。公明党は、「きわめて意義が大きい計画だ」と持ち上げました。生活者ネットも、「開発をやめろという立場ではありません」と合唱にくわわりました。

 自民党議員のハッパかけの質問にたいして、石原知事は“地獄答弁”を変えました。石原知事はこう答弁した。「このまちは、……必ずや飛躍的な発展を遂げて、国民全体の大きな財産になると思っております」「首都東京の再生は東京湾岸地域の発展なくしてはあり得ず、とりわけ臨海副都心はその中心に位置する新たな活力の拠点でありまして、引き続き都の総力をあげて開発にとりくんでいきたい」。「地獄」だったはずのものが、「大きな財産」「活力の拠点」――“天国”へと(笑い)百八十度変わった。こうしてやみくもな推進の道をつきすすみ、ますます傷口を広げました。

 これにふたたび“待った”をかけたのが、日本共産党都議団の論戦でした。今年の三月議会で、わが党議員団が、「臨海」開発の目を覆うばかりの大破綻の事実をしめして追及したのにたいして、石原知事は、「建てなくてもいいものを建て、さしたる目測もなしに投資した結果がいま焦げ付いて、大きな隠れ借金になっている」と答弁しました。「大きな財産」になるはずだったものが、「大きな隠れ借金」へと、押し戻した。その直後に、ついに東京都は、二つの第三セクタービルについて破産処理をおこなうことを明らかにしました。「共産党が一本とったね」と都庁内でも話題になりました。

 都議会を舞台に、「臨海」開発をやみくもに推進する「オール与党」と、これをストップさせる日本共産党のはげしい攻防戦がつづいています。日本共産党をのばすことこそ、この最大・最悪の税金の無駄づかいをやめさせる一番の力になることは明らかだと、私は、考えるものであります。(拍手)

海外視察という名の豪華税金旅行は、きっぱり中止せよ

 もう一つ、政党の根本的な政治姿勢が問われる無駄づかいが、いま大争点になっています。海外視察という名の豪華税金旅行であります。

 この四年間に、自民、民主、公明の都議会議員がおこなった海外視察の実態を、先日、共産党都議団がまとめて告発しました。その内容は驚くべきものであります。

 ともかくあまりに豪華すぎる。海外視察には、自民党が四回・二十三人、民主党が四回・十二人、公明党が一回・三人、合計三十八人が参加していますが、使った費用は、一人平均で百四十八万円。最高は、昨年の民主党のヨーロッパ旅行で、一人平均二百十八万円。最高級の五つ星ホテルに泊まり、フルコースで食事をおこない、常識をこえたお金がガイドや通訳、車のチャーター代として支払われ、飛行機代も割引運賃を利用しない。自分のふところを痛めるわけでないから、節約しようという気持ちが少しもないんですね。

 さらに、視察というより海外観光旅行そのものというものが多いのです。自民党がおこなった視察には、民放テレビが密着取材し、「典型的な観光コースを回った」と報道しました。自民、民主の視察団は、「カジノ視察」といって、ラスベガスやモンテカルロに二泊しました。その報告書は、わざわざ海外にいかなくても、日本で調べればわかることばかりであります。

 共産党が「海外視察の無駄づかいをただちにやめよ」と提起したのは、あまりに当たり前のことではありませんか。(拍手)

 ところが「オール与党」が、この提起にたいしてとってきた態度は、あきれ果てるものでした。自民・公明・民主は、共同の記者会見で、「反論」なるものを発表しました。その中身は、いろいろと言い訳をいっていますが、要するに「豪華ではありません」というものです。しかし、一人平均百四十八万円もの海外旅行を、「豪華ではありません」というのは、自分たちがどんなに都民感覚と無縁かを、自分で証明するだけのものではありませんか。(拍手)

 「反論」の急先ぽうにたっているのは公明党であります。それでは公明党に問いたい。二年前のいっせい地方選挙を前にして、公明党は、「議員の海外視察を党として自粛する」「予算の大幅削減を各議会で提案する」ことを決めているではありませんか。

 その時に、創価学会の聖教新聞は、「公明党『海外視察の自粛』を決議」「『遊び半分の海外視察』を全廃せよ!!」(笑い)と大見出しで報道し、「座談会」で、幹部たちがつぎのようなことをのべています。

 「だいたい議員の海外視察といえば、悪評ふんぷんだった」(笑い)、「だいたい、この不景気に、何十万円、何百万円も使って、何が『視察だ』、偉そうに!」(爆笑)、「早い話が『観光旅行』『物見遊山』。血税を使った『遊び』『息抜き』じゃないか」(笑い)、「まったくの『税金泥棒』だ。国民はバカバカしくて、税金を払う気にもなれないよ」(「その通りだ」の声、笑いと拍手)。これらの言葉は、いま都政で自分たちがとっている立場に、そっくりふりかかってくるではありませんか。(大きな拍手)

 都民の福祉を削るときには、重箱の隅をつつくように、わずかなものまで根こそぎ削りとる「オール与党」が、税金をつかって豪華旅行。それを批判されても反省なし。こういう政党には、つける薬がありませんね(拍手)。選挙できびしい審判を下す以外に方法はありません。(拍手)

 都議会議員の視察は、一九九七年の都議選で日本共産党が躍進したさい、いったんは中止させたものでした。ところが二〇〇一年の都議選で党が後退したときに、「オール与党」は会派ごとに行くという、いっそう悪い形で復活させました。復活の時には、生活者ネットもそれに賛成しました。この無駄づかいをきびしく追及してきた共産党をのばして、豪華海外視察を、きっぱり中止においこもうではありませんか。(大きな拍手)

平和と民主主義が輝く東京をつくる党は

首相の靖国参拝は、この神社の戦争観に“お墨付き”を与える

 第三の争点は、平和と民主主義が輝く東京をつくる党はどの党かという問題です。

 今年は戦後六十年の節目の年です。ところが、日本とアジア諸国の関係がこんなに悪化している時はありません。その最大の根源は、日本側の問題でいえば、過去の戦争や植民地支配に対する日本政府の態度、とくに小泉首相の靖国神社参拝問題にあることは明らかであります。私は、一昨日の、衆院予算委員会の質問で、この問題についての首相の姿勢をただしました。

 靖国神社という神社が、戦争中、国民を侵略戦争に動員する役割をになった神社だったことは、ご年配の方ならだれでもご存じの、議論の余地のない問題であります。問題は、今日の靖国神社が、侵略戦争にたいしてどういう立場にたっているか――どういう歴史観、戦争観をもっているか、そして首相はそれをどう認識しているのか。私が、質問でただしたのは、この問題でした。

 靖国神社の戦争観とはどういうものか。それが一番よくわかるものとして、靖国神社が発行している『靖国神社 遊就館図録』という本があります。私は、質問で、この本のなかで、つぎのような戦争観が公然とのべられていることを、指摘しました。

 一つは、日本がおこなった過去の戦争は、「自存自衛」のための戦争だった、「アジア解放」のための正義の戦争だったという立場であります。ここには当時の日本軍国主義の戦争指導者たちと、まったく同じ立場が、同じ言葉でのべられています。むきだしの形で、「日本の戦争は正しかった」という戦争観がしめされています。

 いま一つは、そうすると、悪いのは、日本と戦った反ファッショ連合国の側だということになります。その攻撃の矛先は、中国などアジア諸国だけでなく、アメリカにもむけられています。たとえば、一九四一年の日米開戦――真珠湾攻撃の事情について、靖国神社のこの本は、アメリカが、「資源に乏しい日本を禁輸で追い詰めて開戦を強要」した、「避けられない戦い」だったとして、“日米開戦の責任はアメリカにあり”とする主張をおこなっています。

 これらの事実をしめしたうえで、私は、「日本の戦争は正しかった」という靖国神社の戦争観と、首相自身がのべた「侵略への反省」という日本政府の立場とは両立しえないことは明りょうではないかとただしました。さらに、政府の責任者としての首相が、そうした神社に参拝することは、首相がどういう気持ちで参拝したとしても、侵略戦争の正当化という靖国神社の戦争観に、政府公認の“お墨付き”をあたえることになるではないかとただしました。首相の答弁は、つぎのようなものでした。

 ――まず首相は、「靖国神社の考えは、政府と違う」と答弁しました。「両立しない」とまではのべませんでしたが、ともかく「違う」とのべたことは重要です。

 ――つぎに、日米開戦の責任について首相は、「日本は戦争を起こしたわけですから、戦争責任は日本にある。戦争を避けられたのではないかと、あくまでも戦争を避ける努力をしなきゃならなかった」と答弁しました。これは「避けられない戦い」だったという靖国神社の戦争観を、事実上否定する答弁でした。

 ――また、首相は、「私は、靖国神社を参拝することによって、戦争を正当化するつもりはまったくありません。どうかそこを誤解しないでください」と、くりかえし答弁しました。

 「誤解しないでください」といいますが、参拝しておいて「誤解するな」とは無理筋の話ではないでしょうか(拍手)。首相が、「靖国の考えと、政府は違う」「戦争責任は日本にある」「戦争を正当化するつもりはまったくない」というならば、靖国神社参拝中止の決断をすることこそ、首相がとるべき道理ある行動ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 日本・ドイツ・イタリアの侵略戦争への断罪は、戦後の国際秩序の土台であり、この土台を否定するならば、日本は世界で生きる道を失うことになります。

 みなさん、侵略戦争を正当化する靖国流の戦争観をおしつける動きを、大本から断ち切るために、ともに力をつくそうではありませんか。(大きな拍手)

侵略戦争を正当化する勢力が、憲法改悪の中心に――この動きを許さない

 さらに、日本の進路にとっての大問題は、過去の戦争を正当化する勢力が、憲法を変える中心にすわっているということであります。

 改憲勢力の狙いは、「戦力保持の禁止」を明記した憲法九条二項を変えて、「自衛軍を持てる」と書き込み、日本を「海外で戦争する国」につくりかえることにあります。

 この動きにたいしてアジアから強い批判の声があがっています。その声に共通しているのは、侵略戦争を反省していない国が、憲法を変えることへの不安と批判であります。過去の侵略戦争を「アジア解放」のための戦争、「正しい戦争」という勢力、戦争の善悪の区別がつかない勢力が、憲法を変えて海外に武力でのりだしたらどうなるか。これでは侵略戦争がくりかえされることになるではないか。この批判は、あまりに当然の声ではないでしょうか。

 自民、民主、公明が、憲法改定の競いあいをしているいま、日本共産党は、侵略戦争に命がけで反対をつらぬいた歴史をもつ党として、憲法改悪を許さない国民的多数派を結集するために力をつくす決意を、あらためて表明するものです。(拍手)

 憲法改悪に反対する声は、どうかこぞって日本共産党におよせください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

首都・東京を、歴史逆行、憲法破壊、民主主義蹂躙の“発信地”にしていいのか

 さて、これらの問題は、東京都政と無関係の問題ではありません。東京都政と都議会のなかに、「日本の戦争は正しかった」という靖国神社の戦争観を信じ込み、憲法と民主主義を否定する逆流が、深刻な形ではびこっていることを、私はきびしく告発しなければなりません。

 その震源地になっているのは、石原知事その人であります(「その通り」の声、拍手)。毎年のように靖国神社に参拝を重ね、そのことへのアジア諸国からの批判を「ヒステリー」「内政干渉」と毒づいてはばからない。この神社が、A級戦犯を合祀(ごうし)していることについて、「リンチみたいな勝者が敗者を一方的に裁く裁判など前代未聞だよ」とのべて、日本が戦争犯罪を犯したこと自体を否定する。「私はあの憲法を認めない」、「命がけで憲法を破る」と公言してはばからない。言葉ではとうてい再現できない女性蔑視(べっし)発言をする。これらの一連の妄言は、救いがたいものです(拍手)。私は、この人物は、はっきりいって、知事にもとめられる最低限の資格も資質も欠いた人物だといわざるをえないのであります。(大きな拍手)

 問題は、知事のこうした妄言を、都議会「オール与党」が一言も批判せず、ひたすらほめそやしていることです。そればかりか、知事と二人三脚で、「日本の戦争は正しかった」とする靖国神社の戦争観を宣伝するために、都政の場を利用しようという動きがあることは、きわめて重大であります。

 都議会に、自民、民主の議員が参加する議員連盟――「世界の歴史教科書を考える議員連盟」というものがつくられています。この「議員連盟」が主催して、「親子で学ぶ『近代日本の戦争』展」なるものが、都議会の議事堂のなかで開かれました。「戦争展」の目的について、「議員連盟」の中心の議員は、「『悪いのは日本だ』の濡れ衣(ぬれぎぬ)を一掃」することにあるとのべています。日本の戦争犯罪を「濡れ衣」だといい、侵略戦争を正当化するのは、靖国神社の立場そのものではありませんか。

 「戦争展」で何が展示されたか。それをおさめたパンフレットには、つぎのような言葉が並んでいます。

 「本戦争展を通じ、近代日本が大東亜戦争を戦わざるを得なかった世界史の背景を認識され、戦勝国が作り上げた『日本は侵略国』とする東京裁判史観からの覚醒(かくせい)の契機となれば望外の幸である」。

 「大東亜戦争と名付けた理由は……白人からアジアの植民地を解放することを目的としたからです」。

 都議会の議事堂のなかで、あたかも靖国神社の「分館」がつくられたかのような「戦争展」がおこなわれているのであります。

 この勢力が、子どもたちに「日の丸・君が代」を強制する先頭にたっている勢力であります。生徒にも教師にも君が代を歌うことを徹底せよ、命令に従わない教員を処分せよと、自民、民主、公明の都議が、都議会で競い合うように要求し、学校と教師、生徒、児童をがんじがらめにしばりつけています。憲法に保障された内心の自由が、こともあろうにもっとも自由と人権が大切にされるべき教育の現場で破壊されているというのは、絶対に許すわけにいかないことではありませんか。(大きな拍手)

 首都・東京を、このような歴史逆行、憲法破壊、民主主義蹂躙(じゅうりん)の“発信地”にしていいのか。都議会が、憲法も民主主義も存在しない“無法地帯”でいいのか。みなさん、これは、この選挙で問われている大争点ではないでしょうか。(拍手)

真っ暗闇のなかの“かがり火”――日本共産党を大きくのばそう

 日本共産党は、都議会の内外で、こうした動きにたいして、真実と理性にたった勇気ある論陣を堂々と張ってきた唯一の党であります。都議会の議事録で論戦の跡を読みますと、日本共産党都議団がなかったら、都議会は真っ暗闇だということを、つくづく痛感いたします。真っ暗闇のなかの“かがり火”のようなかけがえのない役割をはたしてきたのが、日本共産党都議団であります。(拍手)

 みなさん、この党を大きくのばして、平和と民主主義が輝く東京をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

“東京燃ゆ”の大奮闘で、すべての有権者に訴えをとどけきり、必ず勝利を

 みなさん、この集会は「躍進のつどい」であります。最後に、この選挙をともにたたかう一人として、みなさんに訴えたいと思います。

 「オール与党」か、日本共産党か――三つの尺度で争点についてお話ししましたが、道理がどちらにあるかは、すでに明りょうです。「二大政党」といいますけれども、違いは、国政でも、都政でも、どこを探してもありません。競い合って、都民の暮らしを壊し、無駄づかいをすすめ、平和と民主主義を破壊する。これがこの動きの正体であり、それと対決する日本共産党の値打ちが、こんなにわかりやすい選挙はありません。

 あと一カ月、東京のすべての有権者を対象に、宣伝をとどけきり、対話と支持拡大を広げに広げ、「しんぶん赤旗」読者をふやし、私たちの訴えをつたえきろうではありませんか。私は、つたえきれば、都民は必ず良識と理性の審判を下してくれると確信するものであります。(拍手)

 みなさん、「東京は一つ」の立場で大奮闘しようではありませんか(拍手)。現職議員をもった選挙区で、激戦を競り勝ち、議席を必ずまもりぬく大奮闘をおこなうとともに、東京のすべての選挙区がどこでも燃えに燃えて、勝利に正面から挑戦し、東京が一丸になって“東京燃ゆ”の大奮闘をしてこそ、勝利をつかめます。革新と進歩の伝統を築いてきた首都の党組織と後援会が、その底力を発揮し、歴史的たたかいで悔いなくがんばりぬこうではありませんか。(大きな拍手)

 さらに、「全国は一つ」、私は、この場から、全国のすべての党員と後援会員のみなさんに、東京のたたかいへの支援を心からよびかけたいと思います(拍手)。全国のみなさんが、みずからのたたかいとして、あらゆる知り合いやむすびつきを生かし、日本共産党とその候補者への支持を全国から働きかけることを心からお願いするものです。

 みなさん、勝敗は、これからの一カ月間のたたかいにかかっています。力をあわせてがんばりぬき、必ず勝利をかちとろうではありませんか。ありがとうございました。ともにがんばりましょう(大きな拍手、歓声)。


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