2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

仏で欧州憲法拒否 背景は

失業不安と現状への不満
統合自体には賛成多数


 【パリ=浅田信幸】先月二十九日の国民投票でフランス人が欧州憲法条約に「ノン(反対)」を表明した大きな理由が、複数の世論調査から浮かび上がってきました。失業問題をはじめとする経済社会情勢への懸念と同時に、憲法が経済政策であまりに自由主義路線に傾斜していることへの批判が有権者の判断に影響。現状に対する「うんざり感」も大きな理由を占め、憲法とは直接関係のない要素も働いたことが判明しています。

 三つの調査機関(IPSOS=A、SOFRES=B、HARRIS=C)によると、Aでは「経済社会情勢に対する不満」が、Bでは「憲法は失業を悪化させる」がトップを占めました。

「うんざり感」が

 またB、Cの調査では、現状への「うんざり感」が高位にあがっており、これも生活に対する不満・不安の反映とみれば、有権者は憲法そのものではなく現状への「異議申し立て」の票を投じたといえそうです。

 左翼勢力が主張した「憲法は経済自由主義を推進する」との批判については、AとCで二位です。Bでは四位ながら三人に一人がその評価を受け入れており、憲法否定の第一の理由。これとともに「再交渉を行え」との主張が、現実にはありえないとの反論にもかかわらず高位を占めていることが注目されます。

 またCの調査では、憲法への賛否にかかわらず全回答者の49%が「フランスには外国人が多すぎる」と答え、そのうち67%が「ノン」を投じたことが分かりました。調査の報告書は、「外国人嫌い」「移民排斥」感情が底流として広がっていることに注意を喚起しています。

 三つの調査によると、憲法支持がノンを上回った階層は、「幹部・自由業者」および「年金生活者」で、最終学歴別では大学以上の「高等教育修学者」だけ。年齢別(Cを除く)でも憲法支持が多数を占めたのは「六十歳以上」もしくは「六十五歳以上」の層だけでした。

憲法と切り離し

 他方、欧州統合については、Aでは全体の72%が「賛成」、Bではノンの勝利でも「欧州建設は弱まらない」が全体の58%(ノンの投票者の間では82%)にのぼっており、欧州憲法とは切り離して考えていることが明らかになっています。


仏国民投票での憲法拒否の理由(複数回答)

(A)調査機関IPSOS

 (1) フランスの経済・社会情勢に不満 52%

 (2) 憲法は経済面であまりに自由主義 40%

 (3) 拒否は再交渉を可能にする 39%

 (4) トルコのEU加盟に反対する機会 35%

 (5) 仏のアイデンティティーに脅威 32%

 (6) 仏政治支配層に対する不満 31%

 (7) 欧州建設の仏にとって否定的 27%

(B)調査機関S0FRES

 (1) 憲法は仏の失業を悪化させる 46%

 (2) 現在の情勢にウンザリ  40%

 (3) 憲法は再交渉を許さない  35%

 (4) 憲法は自由主義   34%

 (5) 理解しがたい憲法  34%

 (6) 仏のアイデンティティー弱化 19%

 (7) トルコが理由   18%

(C)調査機関HARRIS

 (1) 再交渉させるため  38%

 (2) 自由主義的すぎる  32%

 (3) うんざり   31%

 (4) フランスの独立を守る  27%

 (5) 経済社会情勢への不満  25%

 (6) 現政府への不満表明  25%

 (7) トルコ加盟反対を表明  22%


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