2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

コカコーラよ ロシアの法律守れ

休み取れない、残業未払い

労働者が集会、交渉


 冷たく刺激的な黒い液がのどを潤すコカコーラ。ロシア北部の都サンクトペテルブルクにあるコカコーラの工場で、労働者たちの熱いたたかいが続いています。休みを奪う勤務形態の変更、不十分な賃金、不払い残業―。多国籍企業を相手にする労働者は、工場前での集会を成功させ、七日に会社側との交渉に臨みます。(モスクワ=田川実)

 「勤務形態を元に戻せ」「コカコーラよ、ロシアの法律を守れ」「組合攻撃をやめろ」

 五月二十日の昼すぎ、「コカコーラHBCユーラシア」社のサンクトペテルブルク工場前に、工場の労働組合員ら数十人がプラカードを持って並びました。

 コカコーラはロシアに十一の工場を置きますが、その多くで労働条件が問題になっています。

 昼夜二交代制をとるサンクトペテルブルク工場では一九九五年の開設以来、十二時間勤務を二日続けた後に二連休の勤務形態でしたが、今年から朝二日―夕方二日―深夜二日のサイクルに。「休みが取れない」と一気に不満が広がりました。

 賃金は未公表ですが、労組によると九八年以前は二百五十ドル前後で、ソ連崩壊後のロシアではよい方でした。しかし同年の金融危機後はほとんど賃上げがなく、インフレが続く中、実質賃下げの労働者も少なくありません。

 未払い残業も横行。労組の調べでは、ひと月に百時間近く残業がありながら、法定で二倍の割増賃金は、本来の半分しか出ていません。

組合を敵視

 加えて激しい組合敵視。労組員への賃金差別、短期契約の労働者で組合員を期限前に解雇する―。二十日の集会では会社警備員がこれ見よがしに参加者をビデオカメラに収めました。

 「争いはいやだが、経営陣はわれわれを、やむにやまれぬところまで追い込んだ」。サンクトペテルブルク工場労組のオフリメンコ委員長(生産オペレーター)は語ります。

 二〇〇三年九月に十三人で出発した労組には、現在、三百五十人の全従業員のうち約六十人が加入しました。コカコーラの全国十一の工場のうち、労組があるのは同地とモスクワとボルスキー(ボルゴグラード州)だけです。

 五月の工場前集会は、会社側が何度も労組との交渉を拒否したことから決行されました。集会後、会社側は今月七日に交渉を再設定することに同意しました。

スト準備も

 オフリメンコ委員長は言います。「七日を過ぎればすべてがはっきりする。交渉の道に入り何かが変わるのか、それとも経営陣がまた交渉から出ていくのか。その時はストライキの準備を始める」

 交渉にはロシア農産業労組、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)、さらに地元「優良」企業の事態を憂慮するサンクトペテルブルク市当局の代表らも同席する予定です。


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