2005年6月5日(日)「しんぶん赤旗」

教科書展示会アンケート

“戦争賛美と思われぬように”

「つくる会」が指南


 来年四月から使用される中学校用教科書の見本本の展示会が全国各地で始まり、一般の来場者も意見をアンケートで提出できるようになっています。歴史教科書(扶桑社版)を出している「新しい歴史教科書をつくる会」が会員への文書を出し、このアンケートの書き方について、“「戦争賛美」と受け取られないように”などと事細かに注意を呼びかけていることがわかりました。

 この文書は、「つくる会」東京支部の総会で配布されたものです。扶桑社版教科書には、侵略戦争を正当化するものだとして、広範な市民から反対の声があがっています。

 文書は、これらの「反対運動」へのもっとも有効な対抗手段が、アンケートに「『扶桑社版の優れた箇所』『他社教科書の問題点』を具体的に記載していただくこと」だと強調。「教育委員の中には『戦争の記述が詳細なのがよい』と書くと『戦争賛美』と短絡する人もいます。かならず『戦争』以外の時代の記述でも断然優れていることを強調してください」「『江戸文化の紹介に大変力が入っている』点は東京各区の教育委員には『扶桑社版を選ぶ理由』として説得力になるはず」など、具体的に指示しています。

 なかには、「『朝日新聞が盛んに非難するので、どんなひどい教科書かと思って見に来たが、大変立派な教科書ではないか…』というような意見も書いて下さい」などというくだりも。

 前回、四年前の教科書採択では、扶桑社版は市町村立中学校ではゼロ。公立では、東京都と愛媛県の養護学校など、わずか0・039%の採択にとどまりました。「つくる会」は今回、10%の採択を目標に掲げています。

 教科書採択のしくみ 公立学校で使う教科書を決める権限は、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会にあります。市町村については複数の市・郡をあわせた採択地区が設定され、地区内の市町村が協議会をつくって共同して同一の教科書を選ぶことになっています。

 都道府県の教育委員会は採択の対象となる教科書(検定合格したもの)について調査・研究し、市町村教育委員会にたいし指導、助言、援助します。

 また、都道府県教委は毎年六―七月にかけて教科書展示会を開き、一般市民にも教科書の見本本を公開します。そこで寄せられた意見は、八月末までに行われる採択の際に参考とされます。



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