2005年6月2日(木)「しんぶん赤旗」

仏大統領

「雇用が最優先課題」

欧州憲法投票の結果うけ


 【パリ=浅田信幸】フランスのシラク大統領は五月三十一日、ドビルパン新首相を任命したあと国民向けにテレビ演説を行い、新政府が雇用問題を最優先課題とすることを表明しました。またシラク氏のライバルである与党・国民運動連合(UMP)のサルコジ党首を閣内ナンバー2の国務相に任命し、挙党体制で新内閣を組むことを明らかにしました。新内閣の顔触れは三日までに発表される見通しですが、これまで連立を組んできた中道の民主連合(UDF)のバイル議長が同日、入閣見送りを表明するなど、保守陣営内に足並みの乱れがみえています。

 大統領は国民投票で示された「国民のメッセージを尊重してフランスは行動しなければならない」と述べ、「政府の優先課題は雇用だ」と強調。そのための「国民的動員」を呼びかけました。またこの動員を米英型モデルでなく、「個人の活力とイニシアチブ、連帯、社会的対話」にもとづくフランス型モデルを尊重して進めると強調しました。

 五月二十九日の国民投票で欧州憲法が拒否される結果となりましたが、その背景には深刻化する失業問題や福祉後退に対する不満と批判があり、これに応える姿勢を示したものです。

 ただサルコジ氏を国務相に任命した問題では、同氏が自由主義路線の信奉者で「高失業のフランス型モデルは失敗した」と公言していることもあり、労組の間では、むしろ労働市場の規制緩和など自由主義的政策が推し進められるのではとの懸念が表明されています。


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