2005年6月1日(水)「しんぶん赤旗」
日歯連ヤミ献金事件 臼田前会長に有罪
政治の透明性に反する
自民旧橋本派の責任も指摘
東京地裁
日本歯科医師連盟(日歯連)事件で政治資金規正法違反などの罪に問われた前会長の臼田貞夫被告(74)に対する判決公判が三十一日、東京地裁で開かれ、岡田雄一裁判長は「与党国会議員が多数加入する政治団体の資金の流れに多大な疑惑を抱かせた」などとして、懲役三年、執行猶予五年(求刑懲役四年)を言い渡しました。
岡田裁判長は自民党旧橋本派(平成研究会)への一億円ヤミ献金事件について「政治活動の透明性を確保しようという政治資金規正法の趣旨に違背(いはい)する悪質な犯行」「国民の信頼を著しくそこなった。社会的影響の大きさも看過できない」と批判しました。
他方、日歯連が一億円を収支報告書に記載しなかったのは「(平成研に)領収書の発行を拒まれたことが契機となっていた」と指摘。平成研側の責任が大きいことを示しました。
判決によると、臼田被告は(1)二○○一年七月二日に平成研に提供した一億円について、同年の報告書に記載せず、総務相に提出した(政治資金規正法違反)(2)○一―○三年にかけ、当時の中医協委員二人に現金など約七百四十万円分のわいろを提供した(贈賄)(3)○一年八月には日歯連の資金三千万円を自民党前衆院議員の吉田幸弘被告(43)=業務上横領などの罪で公判中=に預けて着服し、みずから立候補した日本歯科医師会長選での買収工作に流用した(業務上横領)―としました。
臼田被告は四月と五月に一億円ヤミ献金事件で元官房長官の村岡兼造被告(73)の公判に出廷。ヤミ献金前の二○○○年十二月、日歯会長室を訪ねた橋本龍太郎元首相に、現金一千万円を提供したことを法廷で明かしました。一千万円は自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)への献金として処理されたと迂回(うかい)献金の事実を証言しました。
一連の事件では、臼田被告のほかに起訴された十三人のうち、十人の執行猶予付き有罪が確定。村岡被告、吉田被告ら三人が公判中です。
自民党の責任は重大
佐々木議員がコメント
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は三十一日、前日本歯科医師連盟会長、臼田貞夫被告の有罪判決について、次のようなコメントを発表しました。
日歯連前会長・臼田貞夫氏に対する東京地裁の有罪判決は、当然である。
判決は、「与党所属の国会議員多数が加入する政治団体への寄付に関して行われたこと」が、「国民に多大の疑惑を抱かせ」たとのべている。まさに、カネの力で政治と医療行政をねじ曲げたことが問われており、自民党とその最大派閥(旧橋本派)の責任は重大である。
また、一連の事件の中で、国政協を通じての迂回(うかい)献金も明らかとなった。
国会の役割が、いままさに問われている。一億円のヤミ献金を受けた橋本元首相らの証人喚問によって、ヤミ献金の目的や使途を明らかにするとともに、迂回献金の真相を解明することが求められている。

