2005年6月1日(水)「しんぶん赤旗」

CO2削減で日本の産業界の対応は?


 〈問い〉 地球温暖化防止のためにCO2削減は待ったなしの課題と思いますが、日本の産業界の対応はどうなのでしょう?(京都・一読者)

 〈答え〉 「京都議定書」で義務づけられたCO2排出量削減目標達成のためには排出量の8割を占める企業・公共部門で削減することがカギです。

 しかし、02年度の産業部門の削減は、政府の「地球温暖化対策推進大綱」(98年)でかかげた目標(7%減)に対して、1・7%減にとどまっています。しかもこれは景気の低迷での生産減によるものです。

 それなのに、産業界や産業構造審議会(産構審、経済産業相の諮問機関)は、産業部門は削減目標を達成するところまできており、目標達成を危うくしているのは運輸・民生部門だと一貫して主張しています。

 しかし、製造業のエネルギー消費量(00年)でみると、日本は、アメリカの1・13倍もあるのです(中央環境審議会05年3月の報告)。

 産業界に社会的責任を果たさせていくためには、産業界の「自主行動計画」の充実と透明性の確保が必要で、そのためには、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度の導入、政府との協定化などの実効ある制度の導入が必要です。

 政府の「大綱」見直しでは、産業界まかせにしないで、排出量報告・削減計画の義務づけと政府との協定化をはかるべきです。

 すでに、EU、イギリス、オランダ、カナダでは、産業部門の排出量算定・報告制度が義務化され、イギリス、オランダ、ドイツ、米国では政府との協定も導入されています。

 京都市では、地球温暖化防止対策条例を制定しています。条例では、温室効果ガス排出量の相当程度大きい事業者(特定排出事業者)は、削減計画を市長に提出しなければならず、達成状況を定期的に市長に報告し、市長はそれを公表することになっています。義務を履行しない者に対しては市長が勧告し、氏名を公表できることにもなっています。国としても、事業所に地方自治体を経由した排出量の報告・削減計画の提出を義務づけ、産業界と政府との協定化をすすめるべきです。(梅)

 〔2005・6・1(水)〕


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