2005年6月1日(水)「しんぶん赤旗」

主張

NPT会議をへて

さらに強大な核廃絶の運動を


 核不拡散条約(NPT)再検討会議は、世界的な核兵器廃絶のねがいにこたえられずに終わりました。しかしこのなかで、運動の課題や展望も明らかになりました。

米の横暴に強い批判

 今回の会議にむけ、日本原水協はじめ内外の反核勢力は、前回二〇〇〇年再検討会議で合意した核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を強く求めました。また米ブッシュ政権が会議前から、核軍縮については議論さえ拒否し、拡散問題に集中すべきだといった発言を繰り返したもとで、核兵器廃絶へ進むことによってこそ拡散問題も打開できることを明らかにしてきました。

 しかしアメリカは会議でも、二〇〇〇年合意の前進どころか、再確認さえ拒否する態度を変えようとしませんでした。最終文書の策定にあたっては、核兵器廃絶の「明確な約束」ばかりか、包括的核実験禁止条約、非核保有国への核兵器不使用に言及することさえ反対し、批判の高まる新型核兵器開発については、NPTに反しないと開き直りました。

 自らの強大な核戦力には手をつけさせないが、非核国に対しては「拡散阻止」ということで、NPTで認められた原子力平和利用の権利さえ制限しようとしました。

 この道理のない態度の根底には、「核兵器拡散阻止」を口実にしたブッシュ政権の危険な先制攻撃戦略があります。NPT会議のさなかにも、アメリカが非核国に対する核兵器先制使用ドクトリンの具体化を進めていることが明らかにされました。圧倒的な世界世論を踏みにじってイラク戦争を強行し、その深刻な破たんにもかかわらず、なお世界の声に背き、その覇権主義的な野望のために、危険な政策を推し進めようとしています。

 世界平和のために、アメリカの核兵器使用政策と先制攻撃戦略に反対し、核兵器を廃絶し、平和の国際秩序を確立することは、ますます重要な課題になっています。

 同時に、再検討会議を通じて、その実現の展望も示されました。

 確かにアメリカは自国に不利な合意をつぶすことはできました。しかし一九九五年のNPT無期限延長のように、アメリカの思惑を押し通すこともできませんでした。

 何よりも重要なことは、新たな核保有国を作らないことによって核独占体制を維持・強化しようというNPT体制の枠組みのなかにも大きく広がった核兵器廃絶の流れが、確固として発展していることです。会議では、非同盟諸国や新アジェンダ連合諸国だけでなく、NATO諸国のなかからも、核兵器廃絶の約束を含む二〇〇〇年の核軍縮の合意の実行が重要(ドイツ)などの声があがりました。拡散への懸念から「抜け穴」対策を重視する国やNGOの中にも、アメリカを批判し核軍縮努力を求める声が強まりました。

 この流れに背をむけ、アメリカがあくまでも危険な道を進むなら、いっそう孤立を深めるだけです。

運動と連帯の前進へ

 アメリカの横暴を打ち破り、核兵器のない平和な世界を実現するために、諸国民の世論と運動の前進がいっそう重要です。そうしてこそ、NPT会議でも示されたように、核兵器廃絶のために行動する政府の努力を激励し、そのような政府と運動との共同をはじめ強大な国際的連帯を発展させることができます。

 被爆六十年、戦後六十年の原水爆禁止二〇〇五年世界大会の役割はいっそう大きくなっています。


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