2005年5月29日(日)「しんぶん赤旗」
橋梁談合
中心に道路公団OB
36社に54人が天下り
会長・社長職も
鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事の談合事件で、新たに浮上してきた日本道路公団発注工事をめぐる談合疑惑。談合の中心となったのは、同公団OBでした。
本紙の調べでは、二つの談合組織「K会(旧紅葉会)」「A会(旧東会)」加盟四十九社のうち三十六社に同公団OB五十四人が天下り。その多くが役員などに就任し、社長や会長になったケースもありました。
道路公団のOB名簿「道友会名簿」(二〇〇二―〇四年度版)によると、大手メーカーでつくる「K会」には加盟十七社中十五社に計二十一人が天下りしていました。
同公団発注の工事の割り振りの舞台となっていたのは、橋梁メーカーに天下りした同公団OBでつくる「かずら会」。その中心は、「K会」常任幹事社、「横河ブリッジ」の顧問でした。同顧問は公団理事出身の大物OB。〇二年度版の名簿では同社副社長となっていました。
一方、後発メーカーでつくる「A会」にも加盟三十二社中二十一社に計三十三人が天下りしています。
そのなかには会長、社長、副社長など会社の中枢幹部も含まれています。
刑事告発された談合組織の幹事社八社は、いずれも天下りを受け入れており、その数は十三人でした。
同公団が〇三年度、〇四年度発注した鋼鉄製橋梁工事は全部で百五十五件。同公団OBを受け入れた企業は、そのうち百十一件、全体の七割を受注していました。
十億円以上の大型工事に限ると、同公団OBが天下っている企業やその企業が入る共同企業体(JV)がすべて受注。落札率(予定価格にたいする落札価格の割合)は平均97・35%と極めて高くなっています。
十億円未満の日本海東北自動車道の橋梁工事(〇四年三月二十三日入札)では、同公団OBの天下り企業が、予定価格とぴたりと一致する落札率100%で落札したケースもありました。
A会メンバー会社の元営業担当は「公団OBを抱える会社は、年度末に造りきれないほど受注していたところもあった。天下りを見直すべきだ」と話しています。
橋梁メーカーに天下りした道路公団OB
| <K会> (「道友会名簿」から作成) | |
| 横河ブリッジ | 副社長→顧問 |
| 東京鉄骨橋梁 | 常務→専務 |
| JFEエンジニアリング | 顧問 |
| 宮地鉄工所 | 相談役 常務→専務 |
| 石川島播磨重工業 | 橋梁事業部技師長 顧問 |
| 三菱重工 | 鉄構建設事業本部顧問 顧問 |
| 日本橋梁 | 取締役 |
| 住友重機械工業 | 理事→技監 |
| 三井造船 | 鉄構建設事業本部技師長 |
| 松尾橋梁 | 常務 |
| 瀧上工業 | 常務→顧問 顧問 |
| サクラダ | 執行役員・技師長→執行役員 |
| 新日本製鉄 | 顧問 顧問 |
| 川崎重工業 | 鉄鋼ビジネスセンター顧問 鉄構事業部付次長 |
| 日立造船 | 顧問 |
| <A会> | |
| 川田工業 | 常務→常勤顧問 |
| 高田機工 | 常務 |
| 栗本鉄工所 | 副会長→顧問→常務 |
| 神戸製鋼 | 常任顧問 常任顧問 |
| 古河機械金属 | 常任顧問 |
| 片山ストラテック | 常務取締役→常務執行役員 取締役 |
| 住友金属工業 | 事業部部長 |
| 宇部興産機械 | 橋梁技術本部顧問 |
| アルス製作所 | 取締役→支店長 |
| 宇野重工 | 取締役 |
| 東鋼橋梁 | 顧問 |
| 巴コーポレーション | 常務 |
| コミヤマ工業 | 理事 常任顧問 |
| 駒井鉄工 | 橋梁本部取締役→常務 副社長→会長 |
| 佐藤鉄工 | 代表取締役社長 顧問 |
| 日本鉄塔工業 | 顧問 常務 |
| トピー工業 | 常務→専務→副社長 鉄鋼事業部営業部長 特別技術顧問 技術担当部長 |
| 日本車輌製造 | 鉄構本部参与 参与 |
| ハルテック | 最高顧問 常務取締役→常務執行役員 |
| 名村造船所 | 肩書不明 理事調査部長 |
| 酒井鉄工所 | 顧問 |

