2005年5月27日(金)「しんぶん赤旗」

主張

核の先制使用計画

被爆国の首相が容認するとは


 小泉首相が、米国の核兵器先制使用計画について、「核兵器の使用・先制攻撃はあってはならない」といいつつ、「いかなる軍備も抑止力として機能している面が強い」と、ブッシュ政権を擁護する答弁をしていることは重大です(参院予算委員会、二十日)。日本共産党の緒方靖夫参院議員が、米統合参謀本部の「統合核兵器作戦ドクトリン」をとりあげ、非核兵器国への核使用を想定した内容になっており、「許されない」と追及しました。それにたいし、世界で唯一の被爆国の首相が、核先制使用計画づくりを容認する考えをのべるなど許されることではありません。

非核兵器国を対象に

 「ドクトリン」は、米軍の核兵器使用の指針となるもので、三月十五日付「第二次最終調整版」は、各地域の戦闘軍司令官が、核兵器使用許可権限者の大統領に核兵器使用の許可を要請するさいの八事例を示しています。「敵が大量破壊兵器を使用しているか、使用を意図している場合」「米国に有利な条件で戦争を迅速に終結させようとする場合」「米軍や多国籍軍の作戦を確実に成功させようという場合」などです。非核兵器国を対象にしています。

 アメリカは、これまで、核兵器保有を正当化するのに、アメリカへの核攻撃などを抑えるためのものだとする「核抑止力」論を強調してきました。これ自体、核軍拡につながるものであり、核兵器廃絶を求める国際世論の高まりのなかで、非核兵器国への核攻撃はしないと言ってきました。

 しかし、ブッシュ政権の核兵器使用計画は、はじめから、非核兵器国を対象にしており、海外に出かけ、海外で戦争するさいに発動するものとして立案されています。八事例が、他国に干渉的軍事行動をするときを想定した内容となっているのはそのためです。先制攻撃戦略を発動してイラク戦争を始めたものの、短期間で終結するどころか“泥沼化”しています。ブッシュ政権は、こうした先制攻撃戦争で核兵器を先制使用すれば、米軍と多国籍軍が一気に勝利できると本気で考えて、核兵器作戦の指針をつくろうとしています。

 非核兵器国に核兵器を先制使用するというのは、「抑止力」どころか「攻撃力」として核兵器を使うということです。核兵器で世界中の国と人々を脅し、支配するというむきだしの覇権主義の具体化です。

 それを「抑止力として機能している」という小泉首相の答弁は、核兵器を容認し、核先制使用をやりやすくさせることになります。米軍や多国籍軍の作戦を成功させるという論理で、世界的規模で非核兵器国に核兵器を先制使用する計画を後押しすることがあってはなりません。

 世界の反核運動と連帯して、この危険な核先制使用計画を封じ込めていくことが必要になっています。

日本非核化の重要性

 日本が核先制使用の拠点とされる危険もあります。「統合核兵器作戦ドクトリン」は、先制使用する核兵器について、核巡航ミサイル・トマホークもあげています。日本には、核トマホークの積載資格・攻撃能力を「認証」された攻撃型原潜が多数寄港しています。米国防総省が攻撃型原潜に核トマホークを随時積載することを決定(二〇〇三年十二月八日付「インサイド・ザ・ネイビー」紙)しただけに重大です。

 米国の核先制使用計画に反対し、日本を非核化することが世界と日本の平和にとってきわめて重要です。


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