2005年5月26日(木)「しんぶん赤旗」
7人の解雇は無効
熊本地裁が決定
ハンセン病元患者宿泊拒否ホテル廃業
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ハンセン病元患者の宿泊拒否事件を起こし廃業した「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」(熊本県南小国町)を解雇された労働者八人が、ホテルを経営していた「アイスター」(東京)に対し、解雇無効などを求めた仮処分申請で二十五日、熊本地裁(横山秀憲裁判長)は一人を除く七人について、賃金の支払いを命じました。
決定では、アイスターが「解雇回避努力を果たしているとは到底認められず」解雇権の乱用にあたり無効だとしています。金額については、解雇前の賃金ではなく、標準生計費(各都道府県人事委員会発表)をもとに算定。月額十二万円から十八万円までを認めています。
記者会見した弁護団は「われわれの主張がおおむね認められた。しかし、一人が除かれたことや仮払い金額が低い問題がある」と指摘。「宿泊を拒否したことが経営悪化につながったとの流れについては判断せず、事件の本質にふれていない」とも述べました。
原告の永野弘行・労組(建交労)分会長は「全員で決定を受けたかった。ひとつの通過点として、悔しさをバネにがんばっていく」とのべました。
一人認められなかった鈴木由美さんは「悔しさを本訴にぶっつけたい。絶対勝利するためにがんばる」と表明しました。
アイスターは二〇〇三年十一月、ハンセン病療養所・菊池恵楓園の入所者の宿泊を拒否し、旅館業法違反で罰金刑を受け、熊本県から営業停止処分を受けました。同社は「最大かつ最善の謝罪」として〇四年五月にホテルを廃業、労働者三十七人のうち幹部をのぞく三十二人を解雇。労働者は労働組合を結成し、〇四年十一月に解雇無効の本訴、同年十二月に仮処分申請を熊本地裁に起こしました。


