2005年5月25日(水)「しんぶん赤旗」
BSE問題
あいまい管理の北米産牛
国産と同等評価できるか
解説
厚生労働省、農水省が二十四日、食品安全委員会に諮問した北米産牛肉輸入再開は、政府の対米追随ぶりをあらためてうきぼりにしました。
輸入再開条件では、BSE(牛海綿状脳症)検査抜きでの輸入対象に、枝肉だけでなく、解体処理が別におこなわれる内臓肉まで広げています。その対象は生後二十カ月以下としていますが、日本やヨーロッパのような個体識別システムのない米国に月齢を群れ単位で判断することを認めたり、あるいは肉質で月齢を判断する米国式格付けを認めるというあいまいさを含んでいます。
こうした輸入再開条件で輸入される牛肉と、国産牛肉を比較した場合の人への感染リスクが同等かどうかを、食品安全委員会プリオン専門調査会で評価させるというのが諮問内容です。北米産と国産の同等性を同じ前提で評価できないことは明らかで、諮問の前提自体がむりな内容です。
日本が現在実施しているBSE検査は、市場に感染牛を流通させないスクリーニング(ふるいわけ)検査です。日本政府は今後、食品安全委員会の全頭検査緩和の答申を受け、生後二十カ月以下の牛を全頭検査から除く方針ですが、他方、今後三年間にわたって自治体独自でおこなう全頭検査に補助するとしています。現実にはスクリーニング検査で食肉の安全チェックずみの体制がつづきます。
一方、スクリーニング検査がおこなわれていない米国産牛肉は解体時にBSE感染牛が見逃される危険があり、食肉が汚染される恐れをかかえています。
政府が各地で開いた意見交換会では、消費者、生産者から全頭検査の継続と検査抜きの牛肉輸入に反対する声があいついでいました。
政府は、安全委での審議、答申を経て、輸入再開されるのは秋以降としていますが、今後、国民の強い批判にさらされるのは必至です。(宇野龍彦)

