2005年5月25日(水)「しんぶん赤旗」
国交省 判決待たず発注強行
東京・圏央道
高尾山トンネル167億円
自然破壊、歴史に汚点
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「首都圏のオアシス」と親しまれている高尾山(東京都八王子市)に圏央道(首都圏中央連絡自動車道)を通す計画に全国から批判が高まるなか、国土交通省が高尾山トンネル工事の発注を強行していたことが二十四日、明らかになりました。高尾山をめぐり二件の住民訴訟が東京地裁で進行中で、判決もでないうちに工事発注を強行したことに、批判があがることは必至です。
国土交通省関東地方整備局は三月十一日、圏央道高尾山トンネル(その一)工事入札を行い、大手ゼネコンの大成建設、大林組、大豊建設の三社JV(共同企業体)が百六十六億九千五百万円(消費税込み)で落札、同十七日に契約しました。
同省相武国道事務所によると、今回発注した工事区間は、高尾山の南側にある八王子南インターチェンジの北側部分約八百八十メートル(工事用道路を含む)で、工期は二〇〇六年十二月二十八日まで。
高尾山に隣接する八王子城跡トンネル工事では、ふもとの滝の水が枯れる事態が発生し、高尾山でも環境破壊が心配されています。
同事務所では「八王子南インターまでの区間は二〇〇六年度供用開始を目標にしているので、トンネル工事を早く完成させたい」としています。
これに対し、高尾山の自然をまもる市民の会の橋本良仁事務局長は「自然の宝庫の高尾山にトンネルを掘ることは、絶対にやってはいけない。国が工事発注を強行したことは、歴史に大きな汚点を残すもので、強い怒りを感じる。むだな公共事業はやめよの世論をさらに盛り上げ、工事中止を求め、高尾山を守る運動を広げていきたい」と語りました。
高尾山
標高は約六百メートルと低いにもかかわらず、植物千数百種、昆虫約五千種、鳥類約百三十種が生息する自然の宝庫。古くから信仰の対象として知られ、年間約二百五十万人が訪れています。高尾山トンネル計画をめぐっては、地元住民や環境・市民団体などが行政、民事の二件の訴訟を東京地裁に起こしています。
高尾の貴重な自然を壊すな
清水ひで子都議
最近、高尾山の自然を壊すなと、永六輔さん(放送作家)をはじめ幅広い人たちが声を上げてくださったばかりです。東京地裁の判断もまだ出されていないときに、ひそかに工事契約を結ぶなど、とんでもありません。多大な費用をかけて、貴重な自然を壊していいのかという声が広がるのも当然です。引き続き、高尾山守れの声を上げていきます。

