2005年5月24日(火)「しんぶん赤旗」

橋梁談合 幹事8社告発

関係49社を順次捜索

東京高検 過去最大級の摘発


 国土交通省などが発注する鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事の入札談合疑惑で、東京高検は二十三日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、三菱重工業(東京・港区)、石川島播磨重工業(千代田区)、横河ブリッジ(港区)、川崎重工業(神戸市)など談合組織に加わっていたメーカー各社と担当者宅など二十数カ所を捜索しました。公正取引委員会の同日の刑事告発を受けたもの。対象には日本を代表する超大手企業が含まれ、市場規模で約三千五百億円にのぼる過去最大級の談合事件となりました。

 公正取引委員会が告発したのは、昨年度まで二年間に談合組織「K会(旧紅葉会、大手メーカー十七社)」と「A会(旧東会、後発メーカー三十二社)」で幹事社だった八社。

 高検は数日間かけて、昨年度までの二年間にこの二団体の会員だったメーカー四十九社を順次捜索、各社の担当者も事情聴取する方針です。

 調べによると、メーカー各社は、幹事社八社の主導で昨年度までの二年間、国土交通省の東北、関東、北陸の三地方整備局が発注した鋼鉄製橋梁の各工事で落札会社を決め、談合した疑いが持たれています。

 三整備局による工事発注額は二年間で約六百七十億円(百六十六件)。このうち九割がK会、A会のメンバー四十九社分で、約六百五億円(百二十八件)に上りました。

 落札先は、幹事社が過去五年の受注実績(トン数)をもとに工事ごとに決定。継続工事は前回の受注企業を優先し、秘密を守らない場合は登録を抹消するなどの規約も作られていました。

 公取委は昨年十月の立ち入り検査で、国交省三地方整備局発注分の入札談合で証拠が整ったと判断。公訴時効(三年)を踏まえ、二年分の告発で検察当局と合意しました。


独禁法改正を妨害した財界

 今回の告発・捜索対象となっているのは、三菱重工業など日本経団連の有力企業です。こうした企業が長年談合し、発注官庁とも癒着して、公共事業の高値落札を続け、国民負担で巨額の利益をわけあってきた――というのが事件の構図です。談合による被害は契約額の5―10%と認定するケースもあります。

 しかも、日本経団連は、談合にたいする課徴金算定率を引き上げることなどを内容とする独占禁止法改正案の強化を妨害してきました。財界献金の基準である政策評価にもこの問題をふくめました。

 自民党は、昨年の通常国会で法案見送りを決定。民主党は昨年の臨時国会に同党案を提出しましたが、それは政府案よりもさらに課徴金が低い、財界の意向に近い内容でした。日本共産党は課徴金を三倍に強化する修正案を提出しました。

 法案は結局、課徴金について当初案から後退し、今年やっと成立しました。その課徴金のレベルは、EU(欧州連合)やアメリカとくらべても一ケタ違う低さです。事件では政治の責任もまた問われています。(阿曽隆)


公取委の告発

 独占禁止法違反事件の場合、検察が起訴するには公正取引委員会の告発が必要とされています。同法七三条の規定により、公取委は検事総長に対して告発します。実際の捜査は東京地検が担当。裁判の一審は東京高裁の専属管轄とされていることから起訴は東京高検が行います。


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