2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
葛飾ビラ弾圧事件
“表現の自由侵害”
地裁初公判 被告、公訴棄却求める
東京・葛飾区のマンションで昨年十二月に日本共産党の区議会だよりなどのビラを配った男性被告(57)が住居侵入罪で起訴されている弾圧事件の初公判が二十日、東京地裁(大島隆明裁判長)で開かれました。被告は「逮捕・勾留・起訴自体が、憲法が保障する表現の自由を侵害している。裁判所は憲法にのっとり、公正な判断を」と公訴棄却を求めました。
意見陳述で被告は「立ち入ったのは共有部分の開放廊下のみで、静かにビラを投かんしただけ。『侵入』には該当しない行動だ。穏当な言論の自由の行使、正当な政治活動」と訴えました。
弁護側は意見陳述で、今回のビラ配布は「居住者の知る権利、参政権に奉仕する行為」だと指摘。「処罰しようとすること自体、表現手段を委縮させ、民主主義に害悪を与えている」と指摘しました。
公訴棄却の主張でこの日は検察側の冒頭陳述は行われませんでした。
公判は支援の人などで七十席以上用意された傍聴席が埋まり、入れない人もいるほどでした。
ビラ配布をめぐっては東京地裁八王子支部が昨年十二月、イラク派兵反対のビラを自衛隊官舎に配った三人に対し、「刑事責任を問うことは(表現の自由を定めた)憲法二一条に照らして疑問の余地なしとしない」などとして無罪判決を出し、検察が控訴しています。