2005年5月20日(金)「しんぶん赤旗」

日本の侵略戦争美化

東南アジアが厳しい目


 【ハノイ=鈴木勝比古】東南アジア諸国で小泉首相の靖国神社参拝、戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書の検定合格にかつてない厳しい批判の声が上がっています。

 シンガポール外務省報道官は四月二十二日に日本の教科書問題について「日本の教科書(検定)当局が太平洋戦争についての奇妙な解釈を承認したことは不幸なことである」とコメント。こうした批判は日本が侵略した東南アジア各国の共通した見解です。

 インドネシアの有力紙コンパスは四月二十五日付の社説で、日本政府は「残虐な行為をした歴史を隠そうとしている」と批判しました。

 マレーシアでは二大華字紙(星洲日報と南洋商報)が連日、大きなスペースをとって教科書、靖国参拝を厳しく批判する報道をしています。星洲日報は二十回に及ぶ長期連載記事を掲載。第一部が中国編「中国と日本、百年のかたき」(十二回)、第二部が韓国編「韓国と日本、民族の恨み」(三回)、第三部が東南アジア編「皇軍が踏みにじった東南アジア」(五回)でした。体験者が語る「三年八カ月」のマレーシア・シンガポール占領の時期の苦難は多くの読者の反響を引き起こしています。

 これに加えて、太平洋戦争終結六十周年を機に、日本軍の侵略・占領による被害を改めて思い起こす企画も各国で取り組まれています。

 シンガポールではセントーサ島の博物館などで日本軍占領時代の展示の充実化がはかられています。

 ベトナムでは、最大の発行部数のトゥオイチェ(若者の意)紙が三月一日付から「一九四五年の飢餓」とのタイトルで六回連載を行いました。ベトナムでは日本軍占領下の四四年から四五年にかけて日本軍による食料の収奪と天災が重なり、ベトナム政府によると、二百万人が餓死しました。

 ホーチミン市の戦争証跡博物館では九月二日の建国六十周年に向けて新館建設の工事中ですが、この新館に「二百万人餓死」のコーナーが設けられることになっています。

 マレーシアの日本留学経験者が組織する「日本留学生協会」理事の張燦泉(チャン・チャンチュアン)さん(66)はクアラルンプールの同協会支部の事務所で「過去の戦争を正しかったと教えたらまた戦争が起こります。私は日本の国民が好きです。ぜひ皆さんの手で正してほしい」と本紙に語りました。


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