2005年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
米の先制攻撃計画
核兵器使用の選択も
イランや北朝鮮に対処
軍事専門家米紙に寄稿
【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米政権が核兵器の使用を含む先制攻撃戦略に基づき、北朝鮮やイランなどの「差し迫った脅威」に対処する戦争計画を立てていると、米国の軍事専門家ウィリアム・アーキン氏が十五日付のワシントン・ポスト紙への寄稿で明らかにしました。
同氏は、ブッシュ大統領が二〇〇三年一月に「あらゆる」手段による地球規模での秘密攻撃命令を出しているとし、「核兵器と通常兵器との境をあいまいにし、核の選択が使われるリスクを高める」と指摘しています。
寄稿によれば、米国の核戦力を指揮する戦略軍(司令部・ネブラスカ州オマハ)は、〇三年十一月に作成した「CONPLAN 八〇二二」と呼ぶ緊急計画を運用。同計画は「初めてイランや北朝鮮に対する先制攻撃を導入したもの」としています。
同計画は核の脅威を特定した精密攻撃が中心。爆撃をはじめ電子戦、コンピューター・ネットワーク攻撃、発電設備の破壊、核施設を破壊する特殊部隊作戦などが含まれます。
陸海空軍の投入や大規模な兵たん作戦が必要な大規模侵攻を想定した通常の戦争計画とは異なり、これらの攻撃は小規模で地上軍投入の必要のないもの。アフガニスタンやイラクで身動きが取れなくなっている中で、米軍内にはこうした攻撃計画への関心が強まっているといいます。
同計画では、地中深くに建設された施設を攻撃する地中貫通型の核兵器の使用を想定。「敵が米国への核攻撃を行う『差し迫った』状況を示す情報がある」か、「接近が困難な目標を破壊する必要がある」場合のため、核の選択肢を残しています。
こうした計画は〇一年の同時テロ後から整備。アーキン氏はその際の米軍の考え方として、北朝鮮が核兵器を使って韓国を攻撃した場合、米太平洋軍は対処する戦争計画を持っているが、北朝鮮が米国への直接攻撃を準備していることが分かった場合には、太平洋軍には適用できる計画がなかったと指摘しています。

