2005年5月15日(日)「しんぶん赤旗」
ハンセン病
市民学会が発足
偏見・差別の解消めざす
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「ハンセン病市民学会」の設立総会が十四日、熊本県合志町の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園で開かれました。
熊本地裁判決が国のハンセン病政策の誤りを断罪して四年。ハンセン病に対する偏見や差別を解消するため、ハンセン病問題の歴史の教訓をこれからの社会のあり方へ引きつぐことをめざして設立されたものです。
国民全体で考えようと研究者だけでなく、幅広く市民にも参加をよびかけ、北海道から沖縄まで各地から約五百人が参加。日本が植民地支配時代に強制隔離政策を実施した韓国や台湾からも代表が参加しました。
総会では、(1)ハンセン病回復者間や市民との交流(2)なぜ強制隔離や断種・堕胎などが行われたかなど、まだ十分に解明されていない問題の検証(3)国や自治体、ハンセン病療養所、マスメディアへの提言―の三つの柱で活動していく方針を決めました。
共同代表には、インドネシアのアイルランガ大学熱帯病センターハンセン病研究室の和泉眞蔵氏、ハンセン病療養所入所者協議会事務局長の神美知宏氏など九人を選出しました。
総会後の第一回交流会では、ジャーナリストの斎藤貴男氏が「ハンセン病問題と現代社会を結んで考える」と題して記念講演。富山国際大学の藤野豊助教授をコーディネーターに、ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会の谺(こだま)雄二会長、同訴訟西日本弁護団の徳田靖之代表、ハンセン病回復者支援コーディネーターの原田恵子さん、和泉氏、斎藤氏によるシンポジウム「ハンセン病市民学会に期待するもの」が行われました。
このなかで、谺氏は「国は、私たちが思う負うべき法的責任を果たしていない。医療もどんどん悪くなり、命の不安におびえている。栗生楽泉園(群馬)では皮膚科すら欠員になっている。判決を輝かせるため国の姿勢をただしていく」と発言しました。


