2005年5月15日(日)「しんぶん赤旗」

高齢者狙う健康食品商法

効かない錠剤や石つまった袋

2年で100万円近く

年金生活者


 高齢者の健康への願いは切実です。その思いにつけ込み、品質を偽り、高額な健康商品を売りつける悪徳商法があとを絶ちません。


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数万から数十万円する健康商品と被害を訴えた女性

 「こちら社会部。」に被害を訴えてきたのは、東京都内で年金暮らしをする女性(69)です。二年間で健康食品・器具に費やした金額は百万円ちかく。買ったのは、錠剤や石のつまった袋など数万円から数十万円するものばかり。すべて同じ健康食品会社から購入したものです。

「説明と違う 病状が悪化」

 「買った時の説明と違い、ぜんぜん効かない。それでも高額だったからと使い続けたら、病状が悪化し、医者からも『だまされている』と忠告された」という女性。同社に苦情をいい、返品を求めましたが、まったく聞き入れてくれません。あげくは「裁判も受けてたつ」と開き直る同社。女性は怒りを抑えきれません。

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 「こちら社会部。」は、生活のうえで困っていること、社会に訴えたいことなど、読者からの意見、情報をもとに記者が取材する企画です。

 「健康食品の店があるから行ってみない?」。知人の気軽な誘いに乗ったのが始まりでした。

 女性は、ぜんそくと肝硬変、白内障を患っています。介護を必要とする「要介護1」。「少しでも健康になれれば」と五回ほど店に通いました。

 店はビルのなか、事務所のような一室でした。「自然食品専門店オープン」と書かれた新聞の折り込み広告を手にした人など約四十人。ほとんどが高齢者です。

 男性社員が明るく漫談風に、しかも真剣に「目が良くなる」「ぜんそくが治る」「関節痛が治る」と健康商品を紹介します。「心を許し信じきってしまう」ような巧みなセールストークでした。

 一日一時間、一週間かけて商品を説明し、最後になって数万、数十万円もする価格が発表されます。「その時にはすっかり洗脳され、お買い得とすら感じてしまう」という女性。多くの人が商品を購入したといいます。

 神戸市に本社がある同社に、販売方法などについて問い合わせると、「薬事法に触れるような説明は絶対にしていない」と強気な態度を崩しませんでした。

「勇気出して告発したい」

 蓄えはつき、「食べていくのが精いっぱい」という女性は話します。

 「どんどんと体が老いていくというのは不安ですよ。わらをもつかむ思いに付け込まれたんです。何人もの友だちがだまされています。みんな高齢者です。泣き寝入りしている人のためにも、勇気を出して告発したい」

 国民生活センターの相談調査部は「効果がないものを『ある』と、事実と違う説明するのは、消費者契約法、特定商取引法に違反します」と指摘します。

 特定商取引法は、トラブルの多い訪問販売などの規制強化を目的に、昨年十一月に改正、施行されました。販売目的を隠して消費者に近づくことが禁止されました。また、消費者に正確な情報を与えなかった場合は「不実告知」として契約を取り消すことができるといいます。違反すれば二年以下の懲役、または三百万円以下の罰金となります。

 また、健康食品に薬効をうたうこと自体が薬事法に違反しています。健康増進法でも「虚偽、誇大表示」は禁止されており、「行政罰の対象になる」といいます。


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