2005年5月15日(日)「しんぶん赤旗」

日本の歴史教科書問題

マレーシア紙が連日報道

侵略・占領の「3年8カ月」告発


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長期連載「悲しみと恨み」を開始した星洲日報

 【クアラルンプール=鈴木勝比古】マレーシアの人口の26%を占める中国系住民社会で、日本で戦争美化の教科書が検定合格となった問題を機に、「日本軍のマラヤ侵略・占領」への関心が高まっています。「一九五〇年代の日本への戦後賠償請求の時期以来」(コラムニスト陸培春氏)との指摘もあります。

20万人殺された

 当地の人々は、一九四一年十二月から四五年八月までの日本軍の侵略・占領を「三年八カ月」と表します。シンガポールを含む当時の英領マラヤで約二十万人が日本軍によって殺害されました。

 南洋商報は四月十二日付で、タイ・ビルマ(現在のミャンマー)間の軍事輸送鉄道「泰緬(たいめん)鉄道」建設の強制労働に従事させられた鉄道労働者、劉昌華さん(78)の証言を一ページ特集しました。続いて四月二十五日付では、侵略に肯定的な教科書の採択を阻止しようという前日に行われた東京での集会の詳細を見開き特集で報じました。

「悲しみと恨み」

 さらにこの日から五回連載で、「林の中の歳月―母の語った話」を掲載しました。日本軍から逃れて林の中で生活した日々を母が息子に語ったものです。

 また星洲日報は「悲しみと恨み」を四月二十四日付から開始しました。 第一部が中国編で十二回、第二部が韓国編で三回、第三部が東南アジア編です。このシリーズは現在も進行中。カラーページで写真、年表、地図をふんだんに盛り込んでいます。

 星洲日報の羅正文論説主幹は「読者からかつてないほど反響が寄せられています。すばらしい連載だとの感想が大半です」と語りました。

 同紙編集局は今月七日に「中日関係・反省と展望」のテーマでセミナーを開催、九日付で報道しました。現在、マレーシア大学科学部で教えている立教大学社会学部の桝谷鋭助教授も報告しました。

 桝谷氏ら三人は、日本の教科書問題をめぐる日中関係、日韓関係についてさまざまな角度から報告し、とくに日本政府がなぜこうした問題をいつも引き起こすのか、その背景について見解を述べました。

 桝谷氏はセミナー後、「日本では、中国の『反日教育』がデモなどの原因とする論調がありますが、いわゆる『反日教育』を受けていないマレーシアで、中国や韓国と同じく日本へのきびしい批判の声があがっていることは重要です。日本はアメリカンスタンダード(アメリカ流の価値基準)ではなく、アジアンスタンダードを持つべきです」と本紙に語りました。

 マレーシアのアブドラ首相は、日中関係の緊張について繰り返し憂慮を表明し、両国が対話によってこの問題を解決するよう要望しています。


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