2005年5月15日(日)「しんぶん赤旗」
地中貫通型核兵器
被害限定できず数百万人が死亡
米反核団体が調査
【ニューヨーク=山崎伸治】ブッシュ政権が開発しようとしている地中貫通型核兵器(RNEP)がイランや北朝鮮の核施設に対して使われた場合、数百万人が死亡し、米軍兵士や周辺地域の人々数百万人が急性ないしは慢性の障害に苦しむ。米国の反核団体がこんな調査結果をこのほど発表、新たな核兵器の開発に強い反対を表明しました。
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の米国加盟組織である「社会的責任のための医師」がまとめたもの。
RNEPは、地中深くにある標的を破壊する能力を持つ核兵器。この能力により、周辺住民への被害を小さくできるため「使いやすい」とされています。
調査結果によれば、RNEPは、(1)放射性物質を大気中にばらまかないほど地中深くまでミサイルを到達させることは物理的にできない(2)爆発力と熱線の影響は地上でも大きい(3)核爆発で生じる放射性物質や攻撃対象の生物・化学兵器を地中に封じ込めることは不可能―としています。
イランのイスファハンにある核貯蔵施設と北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)にあるプルトニウム製造施設にRNEPを投下した場合、米国防総省作成のコンピューター・プログラムを使って模擬実験したところ、イスファハンでは投下後四十八時間で三百万人以上が死亡し、放射性物質はアフガニスタン全土からパキスタン、インドにまで広がると推定。寧辺でも五十万人が即死し、放射性物質は日本にまで到達して約五百万人が被ばくするとしています。