2005年5月13日(金)「しんぶん赤旗」
性教育「不適切」は不当
養護学校教員ら 都教委など提訴
![]() 状提出に向かう原告団=12日、東京地裁前 |
東京都教育委員会が都立七生養護学校(東京・日野市)で行われていた性教育を「不適切」として教職員を厳重注意などとし、教材を没収したのは不当だとして、同校の教員、保護者二十七人は十二日、東京都(石原慎太郎都知事)、東京都教育委員会などを相手どり、教材二百三十五点の返還と慰謝料の支払いなどを求めて東京地裁に提訴しました。
教員、保護者は東京都、都教委にたいし、慰謝料の請求と教材の返還を要求。自民党の田代博嗣(世田谷区)、古賀俊昭(日野市)両都議、民主党の土屋敬之都議(板橋区)に対しては慰謝料の支払い。産経新聞に対しては慰謝料と謝罪記事の掲載を求めています。
都立七生養護学校の性教育(「こころとからだの学習」)は都教育庁も後援した心身障害教育夏季専門研修で取り上げられるなど高く評価されていました。
しかし、〇三年七月二日、土屋都議が同校の性教育について「口に出すのがはばかられるほど先鋭化」などと攻撃。同四日には自民、民主の三都議が都教委職員や産経新聞の記者を伴って同校を視察。都議らは教員を恫喝(どうかつ)し、教材の一部を持ち去りました。「産経」は翌日、「まるでアダルトショップ」などと事実をゆがめて報道。都教委はその後、教材を没収し、九月には同校の教諭十三人を厳重注意などとしました。
訴状提出後、原告は記者会見し、弁護団の児玉勇二弁護士が「被告らの行動は子どもの性を学ぶ権利、親の学ばせる権利、教師の教育の自由を侵害し、憲法、教育基本法に反する」と批判しました。
原告の教員、日暮かをるさん(56)は「社会で生きていける力をつけようとやってきた教育実践を、一方的に『不適切』とされたことはゆるせない」と語りました。


