2005年5月13日(金)「しんぶん赤旗」

大量破壊兵器使う「意図」だけで先制攻撃

米が核使用の具体例


 太平洋軍など米軍の各地域統合軍の司令官は、米国に対して大量破壊兵器を使用する「意図」があるとみなすだけで敵を先制核攻撃することを大統領に要請できる―米軍がこうした方針をもっていることが、統合参謀本部の核兵器に関する運用指針でこのほど明らかになりました。

 この文書は、米統合参謀本部が作成した「統合核兵器作戦ドクトリン」第二次最終調整版(三月十五日付)です。数年にわたって議論が重ねられ、年内に完成します。同種の指針はこれまでも出されていますが、核使用の具体例を詳述したのは今回が初めて。

 文書はまた、米国が一九九一年に海外から引き揚げると発表した海洋発射核巡航ミサイルについて、「危機にあって必要な場合には使用可能な状態で保存されている」と述べています。これは、日本に寄港する攻撃型原潜に同核巡航ミサイルが搭載できる状態となっていることを示しています。

 同文書は、戦域核兵器が使用される八つの具体例を挙げています。そこでは、「米軍・多国籍軍・同盟軍か市民に対して大量破壊兵器を使用するか使用する意図を持つ敵」に対しては戦域核兵器を使うと述べています。使用する「意図を持つ」だけで核兵器によって先制攻撃するとの方針です。

 文書は「米軍と多国籍軍の作戦の成功の確保」も核使用の事例の一つに挙げています。これは、自衛隊が多国籍軍の活動に参加した場合にも米側の核兵器の使用が想定される可能性があることを意味しています。


 戦域核兵器 大陸間弾道ミサイル(ICBM)のような戦略核兵器より射程が短く、爆発力も小さい核兵器を指します。具体的には、核爆弾や核巡航ミサイルなどです。それ以上に射程が短いものとして、戦術核や戦場核があります。ただし最近は、このような区別はあいまいになっています。


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