2005年5月8日(日)「しんぶん赤旗」

切り捨て推進 「自公民ネット」

東京は福祉「冬の時代」


 石原都政になって福祉関係費の削減額は、二〇〇三年度までの四年間で八百五十六億円(決算額)。お年寄りが増えるなかでの減額だけに、小泉政権の七兆円負担増と合わせ、都民に“激痛”を与えています。この冷たい政治の推進役となっているのが自民、公明、民主、生活者ネットの都議会「オール与党」です。

 (小林俊哉)


表題

 「石原都政のもとで東京の福祉は冬の時代に入ってしまった」(日本共産党・清水ひで子都議、〇四年九月二十八日)。日本共産党の都政追及は、「福祉『冬の時代』論争」といわれ、反響を呼びました。

 美濃部革新都政以来、福祉関係費を減らした知事は石原慎太郎知事ただ一人です。後退した福祉施策は、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成の段階的廃止、保育園や特別養護老人ホーム、国民健康保険などへの補助金の削減、都立病院、多摩地域の保健所の廃止・縮小と枚挙にいとまがありません。

 小泉内閣の負担増は、お年寄りを狙い撃ちにしています。年金課税の強化で、これまで非課税だった所得税、住民税が課税されるようになり、これと連動してシルバーパス、国民健康保険料、介護保険料などが値上げとなります。あるお年寄りの場合、今年一月までは国民健康保険料と介護保険料合わせて、年間三万五千円の負担だったのが、三年後には、税金と合わせ十二万六千円の負担ともなります。シルバーパス代は、これまでの千円から二万五百十円に跳ねあがります。

写真
介護を受けているお年寄りから話を聞く、ふるだて和憲都議=板橋区

 「政治は私たちを苦しめるためにあるのか」「役所からハガキをもらうのが怖い。くるたびに何かが削られたり、お金をとられる話ばっかり」。過酷な負担増に高齢者から怒りの声があがっています。

 日本共産党は、小泉内閣が定率減税の廃止・縮小などで七兆円負担増を国民に押しつけているときだからこそ、都は福祉切り捨てを中止して、悪政の防波堤になるべきだと主張。要介護度の重いお年寄りに一万円の介護手当を支給する条例案や、老人医療費助成の段階的廃止を中止する条例改正案を提出し、福祉を充実させる予算組み替え案も提案するなど、具体的に対案を示して都に求めました。シルバーパスについても、所得に応じた負担軽減をはかり、分割払いを認めることを提案しています。


削りに削って900億円

福祉局長

 この主張が福祉切り捨ての推進役には相当痛かったのか、自民、公明両党は三月議会で、日本共産党に攻撃を集中しました。

 自民党の服部征夫都議は三月十一日の予算特別委員会で「共産党は、福祉の切り捨てとか、大変的外れな主張をしている」と攻撃。公明党の中嶋義雄都議も「(共産党の主張が)いかに詐欺的で欺まん的か」と攻撃しました。

 ところが、自民党の質問に、都の幸田昭一福祉保健局長は「介護保険制度開始に伴う特別養護老人ホーム運営費の都加算、老人福祉手当、老人医療費助成の廃止、シルバーパス、各種手当、医療費助成制度の所得制限基準の見直しなどを行い、結果として九百二億円の財源が捻出(ねんしゅつ)できた」と答えました。

 福祉を削りに削って九百二億円分を“節約”したというのです。“福祉を充実した”と無理な答弁をさせようとして、逆に福祉の削減ぶりを浮き彫りにする質問となりました。

 福祉・医療への攻撃では、民主党も同じです。寝たきりのお年寄りへの月額五万五千円の手当を復活するよう求めた日本共産党の提案に、民主党の土屋敬之都議は「寝たきりを助長する性質をもつもの」(〇三年三月七日)とまでのべたのです。

 生活者ネットは、福祉など都民施策を切り下げる財政再建推進プランについて、「これまで取り組んできた財政再建推進プランの達成率は93・7%という成果をあげ」た(大河原雅子都議、〇三年七月一日)と高く評価しました。


拡充へ粘り強く運動

共産党 都民と連携

写真
「削った福祉をもとに戻せ」と訴える渡辺都議(右端)と足立生活と健康を守る会の人たち=足立区内で

 日本共産党は、都民の運動と結んで、福祉の充実を求めてきました。その代表例が子どもの医療費無料化の拡大です。日本共産党の粘り強い要求で、現在、小学校入学前まで都の助成対象が広がり、自治体によってはそれに上乗せして拡充をはかっています。

 都議会代表によるテレビ討論会で、司会役のキャスターが「福祉といえば、やはり日本共産党」とのべるほどです。

 「なんでもかんでも助成すればいいというんじゃない」(自民・佐藤裕彦都議、〇四年十一月二十九日)と反対していた党も、「対象年齢の拡大など、乳幼児医療費の助成をさらに拡充することを強く要望する」(自民・比留間敏夫都議)、「都としての制度の拡大を多くの都民が求めている」(公明・石井義修都議)と乳幼児医療費助成の拡充を主張するようになりました。

 日本共産党は、子どもの医療費助成を小学生、中学生まで広げ、所得制限を撤廃するよう都に求める決議案を提出し、採択を求めました。ところが、自民、公明両党は、民主党と一緒になって反対し、決議案をつぶしてしまったのです。口先では、乳幼児医療費助成の拡充を主張していたのに、実際に実現しようとしない、これらの党の姿も浮き彫りになっています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp