2005年5月4日(水)「しんぶん赤旗」

検証 国会の“オール与党”〈5〉

政治とカネ

同じ土台の“泥仕合”


写真

「政治とカネ」で集中審議がおこなわれた衆院予算委。質問するのは佐々木憲昭議員=2月8日

 奇妙な光景でした。

 四月二十四日投票の衆院宮城2区補選でのこと。同補選は、民主党の鎌田さゆり前衆院議員が選挙違反事件で議員辞職したことに伴う選挙です。鎌田氏は同選挙区からの立候補を五年間禁止されている身ですが、民主党候補の応援に平然と立ち、事件についてなんの説明も反省ものべなかったのです。

居座り続けた末

 補選から四日後の二十八日、今度は宮城1区、民主党の今野東議員が辞職しました。鎌田氏と同じ選挙違反事件で陣営が有罪判決を受けてからも居座り続けた末でした。民主党は、党として事実関係を明らかにすることも、辞職問題に対処することもなく、政治倫理をめぐる問題での自浄能力のなさを示しました。

 “オール与党”化が進む国会では、金権腐敗政治の一掃、政治倫理の確立という課題でも、新たな困難が生じています。

 自民党旧橋本派の一億円ヤミ献金事件の解明は、昨年から引き続く今国会の重要課題でした。日歯連事件の公判では、一億円小切手の授受や政治資金収支報告書に記載せず裏金処理した経緯にかかわる詳細な証言が続出しました。

 衆院予算委は二月八日、「政治とカネ」に関する集中審議を開催しました。自民、公明両党は野党の追及への“反撃”として、民主党の選挙違反事件、ぐるみ選挙、組織活動費などの問題を持ち出したのです。

 「泥仕合」の様相となった自公のスキャンダル暴きで、民主の疑惑追及は大幅にトーンダウン。参院予算委での「政治とカネ」集中審議(三月二十三日)では、民主党議員の五十分間の質問時間のうち「政治とカネ」問題は二十分間だけで、中身もおざなりでした。

 自民も民主も(1)カネの力で政治を動かす企業・団体献金を当然とする立場(2)「団体ぐるみ選挙」を当然とする立場(3)政党助成金頼みの政党活動―という三つの共通の土台にたっていることからくる矛盾の噴出でした。

 自民党は、金権腐敗問題で追及されるのは必至とみて、今国会開会前から、各党の政治資金収支報告などを詳細に調査、資料を積み上げていたといいます。

 二月九日には民主党の永田寿康議員が議員会館内のエレベーターで、自民党の伊藤公介衆院予算委理事に「政治とカネの問題にはこれ以上触れない方がいい。自民党は全調査能力を傾けて永田議員のことを調べている」と脅された事実も表面化しました。

根本的改革求め

 この自民党の“相打ち”作戦が最初に使われたのは、こっけいなことに日本共産党にたいしてでした。

 二月一日の参院予算委で、井上哲士議員が首相の出身派閥である自民党森派の不明朗資金を追及したさい、小泉首相は苦し紛れに準備したメモを読みあげ、共産党の組織活動費に不正があるかのようにのべたのです。

 井上氏は同日の記者会見で、首相のあげた組織活動費は日本共産党本部財政から党国会議員団全体の日常活動費として給付されたもので、なんの問題もないことを詳細に明らかにしたうえ、「きわめてアンフェアな態度だ」と首相を批判しました。

 日本共産党はその後も、自民党のヤミ資金疑惑で「さすがの調査力」と与党もうなる質問を重ね、腐敗を追及。同時に、自民、民主両党にたいして自浄能力を求め、腐敗の根源にある企業・団体献金禁止など根本的な改革を求め続けています。(つづく)


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