2005年5月3日(火)「しんぶん赤旗」
人間破壊は生涯つづく
被爆者、著名人が訴え
【ニューヨーク=山崎伸治】一日、ニューヨークのセントラルパークで開かれた「核兵器ノー、戦争ノー」集会で、米国内外の多彩な人たちが壇上から核兵器の廃絶、被爆者との連帯、戦争反対を次々と訴えました。
広島の被爆者、坪井直さんと長崎の被爆者、下平作江さんが被爆体験を証言。坪井さんは「九死に一生を得た被爆者は、いまも多くが原爆障害に悩まされ続け、生涯、病気とのたたかいで終わっている。原爆の最大の被害は、たとえ生き残っても人間破壊が生涯続くことだ。まさに原爆は絶対悪だ。核兵器廃絶は人類の悲願だ」と訴えました。
下平さんも「死ぬことによってしか苦しむことから逃れられない被爆者がたくさんいることを知ってほしい。世界のいかなる国の人であろうとも、私たちのような苦しみを味わわせてはならないと思っている。長崎を最後の被爆地にしてほしい」とのべました。
両氏の訴えに涙を流す参加者の姿もありました。
日本原水協が八百人の代表団を送っていることが紹介され、高草木博事務局長が「日本からの署名数五百三万八千百八」と書かれた横断幕を掲げた青年らとともに登壇しました。
「核保有国は核拡散だけが問題であり、その対策が安全を強化するというが、もはやそんなウソにはだまされない」と指摘。米国の核戦略とともに、それを容認して憲法改悪まで狙う日本政府の姿勢を批判し、「米国の核の傘から抜け出し、ブッシュ大統領にすべての核兵器を廃絶するよう求めるべきだ」と強調しました。被爆六十周年の原水爆禁止世界大会への参加を呼びかけました。
このほか、国際司法裁判所が核兵器使用の非合法性を認めた「勧告的意見」を出したとき副所長だったクリストファー・ウィラマントリ氏、インドシナ介入に関する米国防総省機密文書、『ペンタゴン・ペーパーズ』の暴露で知られるダニエル・エルズバーグ氏、米国の反核活動家のヘレン・カルデコット氏ら著名人も発言。北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国、マレーシア、ニュージーランドからの参加者が紹介されたほか、各国の青年による訴えもありました。