2005年5月2日(月)「しんぶん赤旗」

NPT原水協NYシンポ

パネリストの発言

期限切り、核廃絶を

米国は世界で孤立


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原水協の代表団参加者が一堂に会した公開シンポ ジウム絞4月30日、ニューヨーク(本吉真希撮影)

 【ニューヨーク=山崎伸治】四月三十日にニューヨークで開かれた日本原水協代表団の公開シンポジウムでは、三人のパネリストが核不拡散条約(NPT)を中心に、核兵器廃絶の課題をめぐる現状を語りました。

 エジプトのマゲド・アブデラジズ国連大使は、「一部の核保有国が、その政策を再検討する中で、ますます『戦略的防衛理論』を核兵器合理化に用いようとしていることに懸念を覚える」と批判。二〇〇〇年の再検討会議で確認した核兵器廃絶の「明確な約束」からの後退がみられると指摘しました。核軍縮の現状は不十分であり、「全面的核廃絶をめざし、その実現を主張している」と述べました。

 大使は、一九九六年の国際司法裁判所の「勧告的意見」は核廃絶の法的な根拠となると指摘。包括的核実験禁止条約(CTBT)の全面的な発効、非核保有国の安全保障、非核地帯の拡大の実現の重要性を強調しました。

 「廃絶二〇〇〇」全米調整者のジャクリーン・カバソさんは、九五年のNPT再検討会議の際に始まった「廃絶二〇〇〇」の十年間の運動を振り返り、「今回の再検討会議に求めたいのは、核兵器廃絶条約の交渉を開始し、一〇年までに完了し、二〇年までに核兵器を廃絶することだ」と強調しました。

 核軍縮を義務づけたNPTが三十五年前に発効しながら、米国は軍拡中止の努力も核兵器廃絶の交渉もしていないと指摘。現在もさまざまな新型兵器の開発や更新をしていると批判しました。

 米フレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんは、ドイッチ元中央情報局(CIA)長官が「米国は(核軍縮を義務づけた)第六条を実施する意思をもったことはないし今もない」と述べたことを紹介。「米国は他のどんな国も『核クラブ』に入ることを拒否し、核の優位と核によるテロリズムを追求して来た」とし、前回再検討会議で合意した核廃絶に向けた「十三の措置」の実施を拒否していると指摘しました。

 同氏は、「あらゆる帝国には盛衰がある。われわれはいま米国の衰退が始まる時点にいる。われわれの知っている米国は、世界でますます孤立している」として、イラク戦争の失敗とともに米国の経済的な基盤の弱体化を指摘。米国の平和運動は、「自分たちが民主的な共和国から独裁の帝国に変わりつつある国に住んでいることに目を向ける必要がある」と述べました。

 質疑では、日常生活に追われている人たちにどうやって平和の問題を訴えるか、米国民は平和の問題をどう考えているかといった質問が出され、世界の核兵器の現状から米国の歴史まで多彩な議論が繰り広げられました。


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