2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」

あすNPT再検討会議

核廃絶の「約束」 米がほご狙うなか

国際世論 どう反映

NGOが結集 各国へ要請


 【ニューヨーク=山崎伸治】核不拡散条約(NPT)の加盟国による五年ごとの再検討会議が五月二日から二十七日までの予定で、ニューヨークの国連本部で開かれます。核保有国による核兵器廃絶の「明確な約束」を確認した前回二〇〇〇年の再検討会議から五年。米政府がこの約束をなきものにしようとするもとで、核兵器廃絶の国際世論が会議にどのように反映するかが注目されます。


 NPT再検討会議は、この五年間の条約の実施状況を見直すものです。昨年四―五月に開かれた第三回準備委員会には、今回の再検討会議の「議題」が提案されました。ところが「議題」は米政府の反対で決まらず、その後の協議でも結局決まらないまま、本会議に突入することになります。

「信頼」の低下

 四月二十九日、同会議の議長を務める予定のブラジルのドゥアルテ国連大使が国連本部で記者会見しました。同大使はNPTの現状について「加盟国が懸念しているのは条約の信頼性の低下だ」と指摘する一方、「条約の目的を達成することは非常に重要だとの機運もある。すべての加盟国が条約の信頼性強化のために一致して努力してくれると信じている」と述べました。ただ、会議の最後に採択される「最終文書」については、「もし全会一致に達しなければ、条約そのものにとってよくない」との認識を示し、最終文書が採択されない可能性も示しました。

 米政府は、二〇〇〇年の再検討会議で確認された核廃絶に向けた「十三の措置」は、履行義務を負うべき条約そのものではないと指摘。核保有国による一般的な「核軍縮」努力を定めたNPT六条を「順守」していると強調しています。

 その一方でこの五年間に北朝鮮が条約から脱退を表明し、イランが核開発をしていた疑惑などをあげ、「NPTを順守していないことが同体制への脅威になっており、真剣に深刻に対処しなければならないという一致点がある」(軍備管理担当のラドメイカー国務次官補)と主張しています。

大行進や集会

 再検討会議は二日午前に開幕し、アナン国連事務総長、エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長らがあいさつ。午後から各国代表による一般討論演説が始まり十日まで続きます。その後、委員会での討議を経て、二十七日に閉幕の予定です。

 再検討会議にあわせ、世界中から非政府組織(NGO)が結集しています。八百人を超える日本原水協の代表団もニューヨーク入りし、「いま、核兵器の廃絶を!」署名行動や各国国連代表部への要請行動を始めました。五月四日に開かれるNGOセッションで、これまで集めた署名を再検討会議に提出します。

 五月一日には、国連本部からセントラルパークまでの大行進と集会が予定されています。そのほかNGOが主催するさまざまな討論会や集会が予定されており、会議に出席する各国政府代表に核兵器廃絶の実現を訴えます。


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