2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」

核兵器の廃絶いま

各国への要請行動を開始

NPT会議


原水協代表団が会見

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記者会見する(前列左から)エルズバーグ、中本、木村、井本、カズニックの各氏=29日、ワシントン(浜谷浩司撮影)

 【ワシントン=浜谷浩司】核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け核兵器廃絶を訴えるためワシントンを訪問した原水爆禁止日本協議会(日本原水協)代表団は二十九日、ナショナル・プレス・クラブで記者会見を行いました。

 米側からピーター・カズニック・アメリカン大学核問題研究所長、『ペンタゴン・ペーパーズ』で知られるダニエル・エルズバーグ氏、ネバダ核実験被ばく者のデニス・ネルソン氏、「広島・長崎平和委員会」のジョン・スタインバック氏らが同席しました。

 木村勇福岡県原水協事務局長は代表団の目的を、(1)二〇〇〇年の前回NPT再検討会議が合意した核兵器廃絶を達成する核保有国の「明確な約束」の実行を求める(2)「いま、核兵器の廃絶を!」の署名を同会議に届け、各国政府に要請する―と表明。

 医師の中本康雄氏(広島市原水協)は被爆体験を語り、「人類は核兵器と共存できない」と強調して、核兵器の廃絶を訴えました。

 カズニック教授は核兵器をめぐる状況を「大きな危険が迫っている」と指摘。ブッシュ米政権は核兵器の使用をめざしながらNPT体制の解体を主導していると批判し、米国を軍拡主導から軍縮へと転換させる必要を強調しました。

 放射性降下物を浴び、家族をがんで次々に失ったネルソン氏は、核兵器に日本人と最も近い感情を抱いていると切り出しました。米政府が「まったくのウソ」で核実験被ばく者を欺き、ブッシュ政権が核実験再開を進めていることを「悪、非道徳」と非難しました。

 エルズバーグ氏は日本の被爆者と原水爆禁止運動への「感謝」を表明。広島・長崎への原爆投下とともに、「六十年前だけでなく、五十年前の出来事も思い起こす必要がある」と、ビキニで死の灰を浴びた第五福竜丸の被災に言及。米国人のほとんどは原爆と水爆との違いを知らないが、プルトニウム原爆を起爆装置とする「現代型核兵器」にとって、長崎被爆の惨状は始まりにすぎないとして危険性を強く指摘しました。

 井本善久滋賀県原水協事務局長は、米国やドイツで地方自治体レベルで核兵器反対の世論が強まっていることの意義を指摘。また、五歳で長崎で被爆した半沢ヨネさんが紹介されました。


パキスタン大使に訴え

「提言」手渡す

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マジソン・スクエア・ガーデン前での日本原水協代表団の「いま、核兵器の廃絶を!」署名に応ずる女性=29日(本吉真希撮影)

 【ニューヨーク=本吉真希】五月二日からニューヨークで始まる第七回NPT(核不拡散条約)再検討会議を目前にした二十九日、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の要請代表団七人は各国国連代表部への要請行動の第一弾として、パキスタン大使と面会、四月に発表した「各国政府への提言」を手渡し、すべての核の完全廃絶を訴えました。

 パキスタンは「隣国のインドが核を保有しているため、抑止のために保持している」と主張し続けています。日本原水協の高草木博事務局長は「核兵器は世界の共通の懸念である」と指摘。日本原水協はNPT条約のすべての締約国と非締約国が、今回のNPT再検討会議で核兵器の全面禁止条約に至る交渉開始に合意するよう求めていることを伝えました。

 多くの核が世界に存在していることは危険であり、廃絶のためにすべての政府が同条約に加わるべきだと提唱。提言の三点(1)廃絶の合意を守り、実行を(2)核兵器全面禁止条約の実現へ、ただちに行動を(3)新たな核兵器開発や使用政策の停止と破棄を―訴えました。

 大使は「核保有五カ国とインド、パキスタン、イスラエルは核兵器をなくすべきだと考えている」と述べ、原水協の主張する核の全面廃絶を支持すると伝えました。同時に「インドとの安全保障上の懸念も理解してほしい」と話しました。

 参加者からは「核兵器をなくしていくことでインドとの関係を築いていただきたい」などの意見が出ました。


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