2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」

温暖化ガス

「排出量公表」を導入

対策推進法改正案 実効性求める声も


 温暖化ガスを多く排出する事業所などに排出量の算定・報告を義務づける地球温暖化対策推進法改正案が国会で審議され、五月連休明けに衆院で採決される見通しです。

 現在は、燃料や電気の使用量の多い事業者はエネルギー使用の状況を経済産業相に報告する義務はありますが、公表する義務はなく、その仕組みもありません。

 今回の改正案で、温暖化ガスを一定量(年間CO2三千トン)以上排出する事業者に、排出量の算定・報告・公表制度を導入します。日本の排出全体の八割を占める産業・公共分野の実態把握や検証に役立つとともに、今後の排出削減の基盤ともなるものです。

 しかし、こうした制度が導入されても、温暖化ガス削減については、日本経団連の「自主行動計画」による自主的取り組みを拘束するものではありません。産業界の自主性に依存したままでは、排出削減目標の達成は確実なものとはなりません。

 同法案の参考人質疑(衆院環境委員会)でも「排出量の多い事業者に対する施策が定められていない」(世界自然保護基金ジャパン)、「産業分野の目標を強化すべきだ」(気候ネットワーク)と指摘を受けています。

 京都議定書が二月に発効し、日本は二〇〇八―一二年の間に温暖化ガスを一九九〇年比で6%削減することが義務付けられています。この目標を達成するためには、個人や家庭での努力とともに、産業分野でどう確実に削減していくかがカギとなります。

 今回の報告・公表制度を温暖化ガスの削減に確実に結びつけるためには、▽ドイツなどでおこなわれている産業界との協定化▽地方自治体を経由した排出量の報告制度▽事業所ごとの排出量の原則公表―などの改善をおこない、6%削減目標達成のための実効性を高めることが必要です。

 日本共産党は、こうした改善点を盛り込んだ修正案を参院段階で提出する予定です。


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