2005年4月30日(土)「しんぶん赤旗」

郵政法案 連休明け審議

自民の内紛で影響は

国会


 小泉純一郎首相は、自ら「改革の本丸」と位置付けた郵政民営化関連六法案を二十七日夜、閣議決定し国会に提出、翌日インドなど四カ国への外遊に飛び立ちました。しかし、自民党内で反対派との亀裂が深まっており、連休明けからの国会審議では法案修正や会期延長問題などで、なお波乱も予想されます。

 「一つの山を越えたが、まだまだこれから法案審議もあるから、大変厳しい状況は続くと思っている」。二十七日夜、法案閣議決定後の小泉首相の言動は、いつになく慎重でした。

軟着陸路線

 それもそのはず、自民党内の「最後の関門」・総務会は、反対派が大挙詰めかける中、三時間半で議論を打ち切り。法案の「国会提出」は了承したものの党議拘束の確認もうやむやの中途半端な“軟着陸”となりました。

 反対派の旗頭・綿貫民輔前衆院議長が会長の郵政事業懇話会は、同夜の拡大役員会で「党内民主主義に反するもので断じて賛同できない。今後は良心に従って行動する」との決議文を決定。綿貫氏は、今後「与野党入り乱れた状態になる」との見方を示しました。

 自民党執行部などは、衆院に五十人規模の特別委員会を設置し早期に審議入りするため、連休明けから折衝を進める意向です。しかし日本共産党は、これを米国と日本の巨大資本の要求にこたえ「国民サービスを切り捨てる」もので、政府と自民党の「修正合意」も本質を変えるものではないとして「法案の撤回・廃案」を要求。野党三党は民営化反対の立場を確認し、特別委の設置にも反対しています。

 従って、先の衆院補選結果を加味しても、与党から衆院で四十六人、参院で十八人の“造反”が出れば、法案は成立しない勘定になります。

 そのため、首相は否定するものの、反対派の動向次第では法案修正が課題になり、六月十九日までの会期の大幅延長は必至となりそうです。

 “軟着陸”路線は、「政府が独走し自民党の了承無しで法案提出などしたら、政局は大混乱する」と判断した首相の“後見人”青木幹雄参院議員会長らが描いた筋書き。青木氏らは、法案決定を急ぐ首相を、衆院補選が終わるまで待てと説得し、郵政改革関係合同部会で徹底議論。修正点をまとめた上で補選結果も踏まえて、政府から「大幅な妥協」を引き出そうというものでした。

“玉虫色”

 補選では自民が二勝、小泉氏の「盟友」・山崎拓首相補佐官が返り咲きました。これを受けた二十五日の、民営化各社の一体経営の保証などを決めた政府と自民党の「合意」は、「満額回答だ」(執行部)との声がある一方、法案の手直しがほとんどないという“玉虫色”となりました。

 青木氏らの「読み違い」は、“軟着陸”に、綿貫氏らを取り込めなかったことです。青木氏は十二日、綿貫氏を訪ね「総理に、これまでの政治手法はおかしかったと認めさせる」とのべ、小泉氏との会談を持ちかけましたが断られたといわれます。

 こうして「ハプニング解散」などの“火種”は依然、残されたものの、まがりなりにも首相の描く「四月中の法案提出」が達成されました。

 衆院補選で山崎氏復帰に「最大級の貢献」(同派議員)をし、公明党・創価学会抜きでは選挙に勝てないことを改めて示した自民党に「内紛の余裕などあるのか」(政治評論家)との声もあります。五月の国会審議では与野党の攻防も絡んで、緊迫が予想されます。

(梁)


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