2005年4月29日(金)「しんぶん赤旗」

栄養失調死

保護打ち切りは違法

地裁、京都市に賠償命令


 京都市山科区に住んでいた男性=当時三十八歳=が栄養失調で死亡したのは、違法に生活保護が打ち切られたためだとして、男性の両親が京都市を相手取り損害賠償を求めていた裁判で二十八日、京都地裁(水上敏裁判長)は、保護の廃止は違法と認め、京都市に慰謝料など二百二十万円余の支払いを命じました。

 男性は一九九九年七月、自宅で死亡しているのが発見されました。この男性は同年二月ごろに失業、三月には隣人に助けを求め救急車で病院に搬送され入院。生活保護を受給しましたが、五月に退院した際「保護は必要ない」とされ保護が打ち切られ、約二カ月後に死亡しました。発見時に冷蔵庫は空でした。

 判決では、保護廃止は保護辞退を申し出た男性の意志によるものとした市側の主張を退け、「保護を廃止することは許されなかった」と断罪。失業など男性の困難な生活状態を認識することができたにもかかわらず、違法に保護を廃止した福祉事務所長の過失を指摘しました。保護廃止と死亡との因果関係は、保護廃止と栄養状態の悪化を指摘したものの、認められませんでした。

 裁判で「二度と息子のような犠牲者を出してはならない」と陳述した、男性の母親(70)=福岡県=は「支援のみなさんのおかげです。今でも写真を見ると息子のことを思い出します。体が戻るまで保護してもらっていたら、こんなことにはならなかったのに」と涙をぬぐいました。


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