2005年4月29日(金)「しんぶん赤旗」

日活労組

株売却撤回求める

抗議集会開く 親会社と協議へ


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従業員を無視した日活株の売却に反対する労働者たち=28日、東京・文京区の日活本社前

 映画会社日活の労働者でつくる日活労働組合は二十八日昼、日活の親会社ナムコが、日活の株式の過半数を株式会社USENに売却すると発表したことに抗議し、売却撤回を求める集会を東京・文京区にある日活本社前で開きました。

 日活労組の組合員のほか、映演労連(映画演劇労働組合連合会)、全労連など支援の労働者約百三十人が参加しました。

 日活労組の相内津書記長が経過を報告しました。

 相内書記長は、株式売却の情報をつかんだ組合が今年の二月以降、団体交渉で追及しても、会社側は「従業員の嫌がる売却などしない」と一貫して否定していたが、今月二十一日に突然、売却を発表したと、労働者無視のやり方を厳しく批判しました。

 USENへの株式売却に反対する理由として、(1)同社の企業体質、財務状況が思わしくない(2)現在日活の最大収益事業である衛星放送事業と、USENの光ファイバーによるブロードバンド事業が競合する欠陥のある企業売却となると説明しました。

 二十八日にストライキを構えて日活経営者と協議を続けた結果、五月三十日まで売却決定をしないこと、親会社ナムコの経営側代表が日活労組との協議に応じるとの譲歩を会社側から引き出したとのべました。

 同労組の海老原卓生委員長は、「この株売却は、日活の解体につながる。従業員の声も聞かずにこんな企業売却がすすめられていいのか」と訴えました。

 全労連の寺間誠治幹事、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の井戸秀明事務局長、映演労連の高橋邦夫委員長らが連帯あいさつしました。


解説

ソフト入手狙うUSEN

 通信業界は、光ファイバーの利用によるブロードバンド(高速大容量)通信時代を迎えるといわれています。ブロードバンド通信により、映画や音楽などを、インターネット利用者が容易にダウンロードして視聴できるようになると宣伝されています。今回の買収計画は、有線放送最大手のUSENが、日活が所有している人気俳優が出演した映画ソフトを手に入れることをねらったものとみられています。

 USENは二〇〇四年九月にレコード会社エイべックスの筆頭株主になり、同年十月には洋画配給会社ギャガ・コミュニケーションズを子会社化しています。

 USENは前身の大阪有線放送社時代に、有線放送のための同軸ケーブルを、無許可で電柱に張り巡らすなどの違法行為をくりかえした経歴をもちます。


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