2005年4月26日(火)「しんぶん赤旗」

避難計画なぜ秘密?

ロシア原発事故

環境団体が公開求め各地で集会


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「モスクワでチェルノブイリが起きたら?」と訴える環境団体=25日、モスクワの非常事態省前(田川実撮影)

 【モスクワ=田川実】史上最悪の被害を出した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の日(一九八六年四月二十六日)を前にした二十五日、ロシアの環境団体エコディフェンスが原発事故時の避難マニュアル、放射性物質の移送計画の開示を求め、全国各地で集会を開きました。近年も複数の原発事故が発生。住民の生命にかかわる重要情報の非公開に、環境団体は「政府はチェルノブイリの教訓を学んでいるのか」と批判しています。

 エコディフェンスは先ごろ、原発のある全国十四の都市の非常事態省支部に、事故時の避難、放射性物質の移送計画の有無とその公開を求める書簡を送りました。しかし六支部から「非公開」との回答が来ただけ。事故時に住民がどこに問い合わせるかも分かりません。

 バレンツ海沿岸のムルマンスク州では「百キロ以上の避難は想定していない」との回答でした。

 環境団体などによるとチェルノブイリ以降もいくつかの重大事故がありました。九三年のシベリアのトムスク原発の事故では二つの村が避難。九七年のジミトロフグラッド原子力研究所の事故は、発生から三週間後、空中の放射能値の上昇に気付いた環境団体の指摘で初めて明るみに出ました。

 二〇〇四年には南部サラトフ州のバラコボ原発の二号機が停止。当局は放射性物質の空中放出はなかったとしていますが、情報不足から周辺住民はパニックに陥り、甲状腺保護のためヨウ素材を飲むなどしたといいます。

 エコディフェンスのスリジャック共同代表は、「避難マニュアル、放射性物質移送の非公開に法的根拠はない。生命にかかわる情報を知る権利が住民にはある」と本紙に語りました。

チェルノブイリ被ばく500万人か

 ウクライナ政府は昨年、同国のチェルノブイリ事故被ばく者は三百二十万人と発表しています。ロシア政府も今月、同国内の被ばく者を百四十五万人とする名簿を公表。ベラルーシを加えると、被ばく者は計五百万人を超える可能性が指摘されています。

 障害者同盟は、被害者の間で呼吸器系統や甲状腺障害の発生比率が平均より高いと報告。現在も汚染地域に二百三十万人、放射能警戒地域に百六十万人が居住しているといいます。


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