2005年4月25日(月)「しんぶん赤旗」

独224首長、「核廃絶を」

平和市長会議に賛同

ネットで訴え  NPT会議の米国へ


 【ベルリン=片岡正明】五月にニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議を前に、ドイツの自治体で核兵器廃絶交渉開始を求める声が広まっています。広島市の秋葉市長らによる二〇二〇年までの核兵器廃絶を求める呼びかけにドイツでも二百二十四人自治体の首長が賛同。五月初めにはハノーバー市長など七人の首長が代表としてニューヨークを訪れ、核兵器廃絶の訴えをします。

 秋葉市長らが呼びかけた「平和市長会議」は、二〇〇五年のNPT再検討会議で核兵器禁止へ向けた明確なスケジュールを合意し、一〇年までに核兵器禁止条約の発効、二〇年までの核兵器廃絶を求めています。

 ドイツでもこれにこたえ、二百二十四人の首長が「平和市長会議」のメンバーになりました。メンバーには左翼の民主的社会主義党(PDS)の首長のほか、与党の社会民主党(SPD)、90年連合・緑の党、保守・野党のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)、自由民主党(FDP)と、連邦議会に議席を持つすべての党派の首長が含まれています。

イラク戦争批判

 うち、十二人の首長が交代でインターネットのサイト上で核兵器廃絶を訴えています。

 シュマルシュティーグ・ハノーバー市長(SPD)は「米国のイラク戦争は多くの国に、『自衛』のためという口実をつくって核武装することを挑発した」と核兵器拡散の現状を批判しています。旧東独部ザクセン州のホイエルスウェルダのブレーミヒ市長(PDS)は「米国は他の国に核兵器を保有させようとしない」が自国の「新世代核兵器を開発している」と指摘。「喫煙者は他人にたばこを禁止できない」と、核大国みずからの核軍縮を要請しています。

 ラーベンスブルクのフォグラー市長(CDU)は「冷戦後も米国とロシアにはいつでも数百万人を殺りくできる核ミサイルがある」として、核ボタンを押すという失敗がありうることを指摘。核兵器の廃絶をアピールします。

米に圧力かける

 米陸軍欧州本部のあるハイデルベルクのウェーバー市長(SPD)は「世界中で人びとがエイズや他の疫病、飢餓で苦しんでいる。どのような兵器も人間の安全を保障しない」と軍事費を人道援助や環境対策にあてることを求めています。

 ドイツでは、百三十人の首長が政府に「NPT再検討会議で核兵器の廃絶・禁止の交渉開始へ積極的に関与」することと「ドイツの地から米軍の核兵器の撤去」を求める声明を出しました。

 首長とともにこれらの運動を推進している核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部のハンテ・ハールさんは、「NPT再検討会議へ向けて今こそ、世界中から核兵器廃絶を求める草の根の声をあげ、米国に圧力をかけていくことが大事です」と語っています。


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