2005年4月19日(火)「しんぶん赤旗」

米国防長官 アゼルバイジャン秘密訪問

対イラン軍事圧力か

移動部隊の駐留に合意

米紙報道


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 【ワシントン=浜谷浩司】ラムズフェルド米国防長官が十二日にアゼルバイジャンの首都バクーを訪問したことが、さまざまな推測を呼んでいます。長官の外国訪問にもかかわらず、米国防総省はこの訪問を公表しておらず、米国の主だったマスコミも報じていないからです。

 同国防長官は先週、予告なしにイラク、アゼルバイジャン、アフガニスタン、パキスタン、キルギスを訪問。それぞれの国で指導者との会談や記者会見などをこなし、その内容が報じられました。

 しかし、アゼルバイジャンだけは一泊したことがわずかに伝えられただけで、アビエフ国防相との会談も明らかになっていません。

 そのなかで、米紙クリスチャン・サイエンス・モニター十八日付(電子版)は、米国が先週、アゼルバイジャンとの間で、緊急事態に即応できる米軍移動部隊の「一時的展開」に合意したと伝えました。

 アゼルバイジャンは、ブッシュ米大統領が「圧政国家」と敵視し圧力を強めているイランの北隣に位置します。同紙は、米国がイランとの対抗上、中央アジアに強力な軍事プレゼンスを築きたがっていると指摘。ハイテク化された米軍にとって大規模な軍事力は不要であり、「目立たないが、存在する」ことが重要だとしています。

 米軍はまた、「イスラム過激主義」を押しとどめる「対テロ戦争」のためにも、ドイツなど欧州に駐留する米軍部隊の一部を中央アジア地域に展開させています。ラムズフェルド国防長官の訪問に先立って、ワルド米欧州軍副司令官がバクーを訪問し、移動部隊の駐留を話し合っていたとの情報もあります。

 一方、民主主義の拡大を政策に掲げる米政権が、アゼルバイジャンのアリエフ政権に「軍事協力か、『民主化』か」と、選択を迫ったと指摘する声もあります。昨年十一月にウクライナで起きたクチマ前政権の崩壊や、今年三月のキルギスでのアカエフ前政権の崩壊には、米国の活動も影響を与えていたことが知られています。

 アゼルバイジャンはロシアやグルジアなどとも国境を接し、カスピ海に面した産油国であることから、米国にとって戦略上きわめて重要な位置を占めることがかねてから指摘されてきました。


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