2005年4月17日(日)「しんぶん赤旗」
EU、核廃絶で声明準備
NPT会議へ 2000年合意の再確認焦点
米財団の研究員ら報告
【モスクワ=田川実】欧州連合(EU)が五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け「核完全廃絶」の方向で外交努力を強め、核保有国の英、仏両国を含めて共同声明を出して同会議に臨もうとしています。米シンクタンク・カーネギー国際平和財団のゴットメーラー上級研究員(元米エネルギー省副次官)らが十四日、モスクワで開かれたセミナーで明らかにしました。
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同氏らは、「五月の再検討会議の失敗を避け、核軍縮で前進を生み出そうとする努力が、EU諸国のイニシアチブで加速している」と指摘。EUが作成する声明では、核保有国による「核廃絶の明確な約束」を含む五年前のNPT再検討会議の合意が入るかどうかが焦点だと述べました。同氏は十八日からEU幹部らと話し合いをする予定です。
同氏らは三月に発表した提言で、核抑止力の維持を前提としつつも、前回NPT会議の核廃絶合意を関係国が再確認し、実行することを求めました(三月十一日付既報)。同氏らは、この提言を米政府に直接説明したものの、好意的な反応はなかったといいます。
核・軍事専門家らが出席した十四日のセミナーでも同氏は「十三項目の再確認が来月のNPT再検討会議では優先課題だ」と指摘。「米国など一部の核保有国は『五年前のことは忘れろ』という態度だが、あの合意は世界に勢いを与えている」と述べました。
同氏は「テロリストに核兵器が渡らないようにするのが今日の優先課題の一つだが、そのためにも核兵器そのものの価値を下げることが重要だ」と強調。ブッシュ米政権の核政策は北朝鮮などの核開発を誘発する悪影響があると指摘し、「米ロには安全保障政策で核兵器への依存をやめる特別な義務がある」と述べました。