2005年4月16日(土)「しんぶん赤旗」

サラリーマンを増税が狙い撃ち

給与所得控除の縮小も

政府税調検討


 二〇〇六年度税制「改正」の議論をすすめる政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)。個人所得課税の抜本的「見直し」として給与所得控除の縮小も検討されています。所得税の定率減税の半減・廃止に続いて、サラリーマンに増税の痛みが押し付けられようとしています。

 (山田英明)


写真

職場に向かう人たち=東京都内

 「給与所得控除は過大だと思っている」。石会長は十二日の記者会見でこう語りました。サラリーマンの収入に応じて一定割合を課税対象額から差し引く給与所得控除を縮小すべきとの考えを示したものです。

 所得税は、収入から必要経費を差し引くことで、課税対象になる金額を算出します。必要経費を算出するのが困難なサラリーマンには、概算控除として給与年収額に応じて給与所得控除が設けられてきました。

 たとえば、年収六百六十万円では20%を乗じた額に五十四万円を足した百八十六万円(年収の約28%)が給与所得控除の額となります。

高額所得者減税の犠牲に

図(サラリーマンの所得税の仕組み)

 なぜ給与所得控除の縮小なのでしょうか。

 「所得税の基幹税としての機能(財源調達機能、所得再配分機能)を回復する必要がある」―。政府税調が〇二年六月に発表した税制「改正」の基本方針(あるべき税制の構築に向けた基本方針)は強調しています。

 たしかに、所得税収は低下傾向にあります。不況による減収だけではありません。一九七四年には75%だった所得税の最高税率は現在37%に。高額所得者への大規模な減税が、所得税の減収に拍車をかけてきました。

 政府税調はこうした原因にメスを入れるのではなく、基本方針以降、一貫して給与所得控除の縮小を主張してきました。

 石会長は十二日の記者会見で、個人所得課税の「改革」によって「結果的には増収になる」と発言。給与所得控除の縮小が、高額所得者減税などによる税収減の回復の手段であることを示しました。

税金の原則をますます歪める

 毎年0・354%引き上げられる厚生年金保険料。〇六年一月からの所得税の定率減税半減。〇七年一月に狙われる定率減税廃止。小泉内閣は、今後連続的にサラリーマンに増税と負担増の押し付けを計画しています。

 この上さらに増税の痛みを押しつける給与所得控除の縮小。能力に応じて税金を負担するという税の原則をも、ますますゆがめることになります。

表

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