2005年4月12日(火)「しんぶん赤旗」

国境問題解決で合意

印中首相会談、貿易も強化


 【ニューデリー=小玉純一】インドを訪れている中国の温家宝首相は十一日、インドのマンモハン・シン首相とニューデリーで会談し、半世紀に及ぶ両国の国境問題の早期解決や、二〇〇八年までに両国の貿易を二百億ドル以上に増やす点で合意し、文化面も含め全面的に関係を強化していくことをうたった共同声明を発表しました。

 両国の国境問題の特別代表が国境画定のための基本理念文書に調印しました。両国はまた実効支配線付近の軍事分野での信頼醸成措置実行を含む十一の覚書に署名しました。

 両国の国境画定への新しい前進は、世界人口の三分の一を占める両国間の安定も意味し、アジアと世界の平和にとっても重要なものとなります。

対決超えた対話の成果

 印中両国はこの間、国境問題での見解の違いを両国間関係と経済交流の障害にしないという立場で交流を発展させてきました。今回、国境画定のための基本理念で合意し二大国間の安定へ向けた動きを示したことは、両国関係の新しい展開と言えます。

 両国の国境問題は半世紀に及びます。一九五四年に「領土、主権の尊重」「不侵略」などの平和五原則で合意しましたが、国境での対立は一九六二年に軍事衝突に至り、以後、両国関係は長く冷えたままでした。

 一九八八年になってラジブ・ガンジー首相がインド首相として三十四年ぶりに訪中し、国境問題解決へ共同作業グループを設置しました。しかし二〇〇二年までに十四回の会合を持ちながら大きな進展はなく、二〇〇三年六月のバジパイ印首相訪中で特別代表会合の枠組みをもうけて対話を進め、五回の協議を重ねました。

 これまでインドは、カシミールのアクサイチンの中国占有を批判し、中国はインド北東のタワングなどの占有を認めてきませんでした。温、シン両首相は昨秋、ラオスのビエンチャンで会談した際、国境問題については「実情を考慮し互いに認めあう」として意見交換しています。

 今回合意した基本理念文書は、平和五原則に基づき、「公平で合理的、相互が受け入れられる解決を探求する」「境界地域の定住民の正当な利益を守る」など十一項目を示しました。特別代表などの今後の協議で、焦点のアクサイチンなどの扱いが注目されます。(ニューデリー=小玉純一)


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