2005年4月11日(月)「しんぶん赤旗」

三宅島 5年ぶりの春

住宅修理の音響く

雨漏り多く「梅雨前には」


 サクラの季節になり、東京・三宅島の多くの島民は約五年ぶりに島で春を迎えています。五日には、保育園の入園式、七日には高校の入学式がそれぞれ行われました。子どもたちが戻った島からリポートします。(藤川良太)

 生活再建が進むなか住宅修理で問題も上がっています。昨年十二月の村が行った調査で「帰島する」と答えたのは千八世帯。東京電力が、二月一日から今月十日までに通電を開始したのは七百六十一軒にのぼります。

 島の各所では、野鳥の鳴き声とともに、ノコギリやかなづちの音が響いています。住宅の多くに見られるトタン屋根は、火山ガスで腐食。島内の大工職人は総出で住宅修理に追われています。

 阿古地区にある一休工務店の沖山芳広さん(60)は、「修理した九割ぐらいの住宅が、雨漏りしていた」といいます。二月一日からこれまで休み無しで七百から八百軒を修理。噴火の二カ月前にトタンを張り替えた住宅が雨漏りしていました。また、長い間、人が住んでいなかったため、シロアリの被害も広がっています。

 美茂井地区の店舗の屋根を直していた高谷健二さん(53)は、「みんなが急ぐのも分かるんだよね」といいます。「梅雨前には修理してほしい」と頼む住民もいます。仕事の予定は九月までいっぱい。高谷さんは「家の大きさにもよるけど、三日ぐらいはかかる」と複雑な心境を話しました。

 そんな中、帰島した住民からは「自宅の修理が終わらないと精神的に安心できない」との声も聞かれました。伊ケ谷地区に自宅がある梅田孝之さん(68)は、雄山の噴火で住宅の改修工事が中途半端になっていました。避難指示解除後、工事が再開したのは、今月七日。梅田さんは「まだ完成時期は分からないが、しっかり修理してもらいたい」と話しました。住宅修理の遅れで、帰島できていない島民もいるといいます。

 帰島がピークを迎えるなかで、三宅村が引っ越し業者をあっせんした「引っ越しプロジェクト」で疑問も出ています。

 同プロジェクトを使用した島民からは「見積もりしてもらったら四十万円だった」「私は七十万円と言われた」という声が聞かれました。

 一方、伊豆地区に住む池田美香子さん(76)は郵便局のゆうパックで引っ越し。「安かった」といいます。島に送るゆうパックは増大し、郵便局側は急きょ貨物船をチャーターし対応に追われています。

カギは観光客

 ゴールデンウイークを控え島は観光客を受け入れる準備を進めています。三月中旬、店を再開した築穴商店の築穴宏さん(59)は「観光客がどれだけくるのかが復興のカギになる。ちょっと期待しています」と話しました。島では十一日、三宅島小中学校で始業式が予定されています。

 日本共産党の寺本恒夫村議は、「約四年半の避難生活は長く思いのほか島民の家の傷みはひどい。島民は新たな出費がでる中での、引っ越し費用の問題は村が主導権を握り島民のためになるものをやらないといけない。農・漁業の問題もあり本当の復興はこれから」と話します。


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