2005年4月10日(日)「しんぶん赤旗」
国連改革
先制攻撃に懸念
総会討議 核兵器廃絶求める声も
アナン国連事務総長の国連改革報告を討議する国連総会本会議三日目の八日、他国に対する先制的な「予防攻撃」を報告が認めていることに各国から懸念の声があがりました。安全保障上の重要課題として核兵器廃絶を求める声も相次ぎました。
キューバ代表は、報告が戦争や予防攻撃を認めているとして懸念を表明。武力攻撃が発生した後に自衛権の行使を認めている国連憲章第五一条の規定を緩めることに反対すると述べました。米国によるイラクやアフガニスタン攻撃、イラクでの収容者虐待を挙げ、名指しを避けながらも米国の一極支配の下で介入の権利を認めることは、国連の自殺行為だと批判しました。
ベトナムの代表は、憲章五一条は、加盟国が「差し迫った脅威」とみなしたものへの軍事行動を許可してはいないとして、アナン報告を批判しました。
核兵器など大量破壊兵器の問題について、ベトナム代表は、核兵器の存在は世界の平和や安全保障に対する深刻な脅威だと主張。核兵器の完全な廃絶を含む二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の合意を緊急に実行すべきだと述べました。
シリア代表は、大量破壊兵器問題でアナン事務総長の報告は不十分だとし、核軍縮と大量破壊兵器の完全な廃絶を優先させるべきだと強調。核兵器の不拡散は核軍縮によって達成されると述べました。
アナン報告が二〇一五年までに貧困と飢餓を半減させるミレニアム開発目標を達成するため、途上国への政府開発援助(ODA)を一五年までに国民総生産(GNP)の0・7%に引き上げることを先進国に義務付けていることについては、途上国から歓迎の声が出、あわせて先進国にいっそうの努力を促す発言が噴出しました。スペイン代表は、一二年までに目標を達成するため具体的な計画を設定したことを明らかにしました。