2005年4月9日(土)「しんぶん赤旗」
プロ野球観客実数発表
現実の直視が改革の始まり
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セ・リーグが開幕した4月1日、一つの記録が途切れました。
1988年の東京ドーム開場以来、巨人が続けてきた「満員」(昨季まで5万5千人)の発表が1020試合でストップしたのです。この日の観客数は4万3684人。今季から東京ドームの満員は4万5600人です。
これは、各球団が実施している「観客の実数発表」の結果です。
昨年の球界再編を機に透明性を高めようと、今季から12球団で導入された観客の実数発表。1年分をまとめて売る指定席や招待席の扱いなど、集計方法は不統一ですが、11球団が一ケタまで公表しました。
今季パ・リーグの開幕戦3試合の合計観客数は8万1768人。昨年より5万5千人以上減りました。1試合平均にすると約4万5600人から2万7256人になった計算です。またセ・リーグ開幕3試合の1試合平均は、3万7870人で、昨年より3463人の減少でした。
ある球団代表は「昨年に比べれば観客が減っている印象を与える。デメリットはある」と語りました。
オープン戦でも衝撃的な数字が発表されました。3月3日に神戸で行われたオリックス―ロッテ戦の観客は、わずか871人。平日のデーゲームで寒かったという条件も重なりましたが、「これが実数発表の怖さだ」と関係者はいいます。
しかし、今季のパ・リーグは話題が豊富で、開幕戦3試合中2球場でほぼ満員でした。もし、これまで実数で発表されていれば、パ・リーグの観客数は昨年を上回っていた可能性もあります。ファンの動向を示す観客数の発表が、水増しやどんぶり勘定では健全な球団運営とはいえません。
Jリーグは発足当初から実数発表をしています。それはクラブの経営努力のバロメーターという考えからです。鈴木昌チェアマンは「試合を見る価値があるものとなっているかをはかる大事な指標」と話します。
実態を明らかにし、それと正面から向き合うことで、各球団の経営努力の方向も見えてくるはずです。そうすれば、ファンも球団の努力にこたえようと、もっと球場に足を運ぶでしょう。
改革は、現実を直視することから始まります。
(栗原千鶴)


